柏原市立歴史資料館 企画展

2024年7月2日

令和6年度夏季企画展

「江戸時代の列島改造と国分村-稲垣重綱没後370年-」

企画展ポスター

展示パンフレット (全2ページ)

令和6年6月29日(土)~8月25日(日)

概要

 今回の夏季企画展は、本市国分地域、江戸時代の〈国分村〉の領主を務めた大坂定番 稲垣重綱の没後370年にあたって、重綱が領主を務めていたとき、村の土豪 猪右衛門によって開発された、1. 排水用トンネル 「田輪樋(たのひ)」と2. 水陸交通の要衝 国分新町に注目します。

 なかでも「田輪樋」は、正保元(1644)年までに開削されたことが史料上明瞭な、わが国でもかなり古い本格的なトンネルで、注目すべき土木遺産と言えます。金銀山の開発によって、戦国時代に革新を遂げた鉱山技術を転用したものでしょう。

 市内の旧家から借用した田輪樋や国分新町にかんする歴史資料のほか、稲垣重綱が居した時代の古い大坂城絵図、重綱の活躍ぶりの一端を知れる島原の乱の際の書状(大阪城天守閣から借用しています)、江戸時代のハザードマップといえる災害の絵図なども今回展示しており、まさに必見です!

 

 戦国乱世が終わりを告げ、日本の耕地面積・人口が100年でほぼ倍増した江戸時代前期という時代に、〈国分村〉もまた、上記のような土木と交通の変革によって発展を遂げることになりました。それは文化面におよび、江戸時代後期には、近世日本の教育史に名高い「立教館」が設立されました。一方で、田輪樋や大和川堤防による防災は絶対的ではあり得ず、災害時に崩壊するリスクを永続的に抱え込んでいます。だからこそ、村の人びとは、その完成以来、ずっとそれらの維持に尽力してきました。また、時どきの経済情勢により、地域社会の矛盾が噴出し、幕末には大規模な打ちこわしが起こり、昭和恐慌に伴なう国分銀行の破綻もかなり大きな打撃でした。こうした危機を超えて、地域が今日に維持されている理由は色いろありますが、田輪樋や大和川堤防によって護られた豊かな土地が、完成以来、人びとによって維持され続けたことが大きいと言えましょう。

 

 これは、どこか別な世界の物語ではなく、現在の我われの暮らしと地続きな、ひとつの日本の〈村〉の開発防災の履歴書です。本企画展を通して、〈江戸時代の列島改造〉がもたらした国土の変容と豊かさ、潜在的なリスク、そして、かく産み出された〈地域〉の未来について、思いをめぐらしていただけますと幸いです。

主な展示資料

●正保元(1644)年  稲垣十左衛門・稲垣弥惣左衛門   覚(館蔵)
●大坂夏の陣図(個人蔵)
●寛永~正保期 大坂城絵図(大阪城天守閣 所蔵)
●木俣守安宛  稲垣重綱等4名   連署状(大阪城天守閣 所蔵)
●宝暦2(1752)年 国分村絵図(個人蔵)
●田輪樋 木枠・模型(館蔵/柏原市市民歴史クラブ作成)
●鉱山で使用する道具(猪名川町教育委員会 所蔵)
●宝暦12(1762)年 悪水抜樋御修覆下目論見帳(個人蔵)
●河内国大県郡・安宿部郡 土砂留場山内谷々図(佛教大学附属図書館 所蔵)
●有馬温泉「日本第一神霊泉」碑 拓本(個人蔵)
●慶応2(1866)年 国分村 打ちこわしの資料(館蔵)
●昭和26(1951)年 田輪樋 再建にかんする資料(館蔵)

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もっと知りたい企画展-江戸時代の列島改造と国分村-

7月29日(月) 14:00~15:00

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