【コラム】百済の王族が眠る? 高井田山古墳 (10)韓国との交流

2023年6月1日

 高井田山古墳は、古墳時代の研究において、朝鮮半島との交流や横穴式石室の普及などに関わって重要な位置を占めています。古墳時代の研究者に注目されている古墳ですが、日本の研究者に留まらず、韓国の研究者の関心も高いものがあります。大県・大県南遺跡の鍛冶や韓式系土器も注目されていますが、やはり高井田山古墳への注目度は大きなものがあります。新型コロナウイルス感染拡大前には、年に数回は韓国から研究者や市民団体の訪問がありました。柏原市からも市長など市関係者や市民有志とともに高井田山古墳に関連する韓国の遺跡を訪問したことがあります。調査担当者でもあった安村も、国際シンポジウムなどで韓国から招待される機会がありました。それに伴って、韓国の研究者との交流、歴史に関心をもつ市民との交流なども行ってきました。
 昨年(令和4年)には、ソウル特別市の漢城百済歴史博物館から研究や展示に関する交流を進めたいとの依頼があり、11月にはユ・ビョンハ館長らが柏原市を来訪し、資料館や高井田山古墳を案内するとともに、市長らとも面会していただきました。
 日韓のあいだには、太平洋戦争など避けて通れない歴史があります。その解釈などをめぐって日韓関係が悪化することもしばしばです。しかし、古代から日本と中国、朝鮮半島とのあいだには頻繁な往来があったのです。日本は中国や朝鮮半島から、さまざまな技術や学問、知識、思想などを学んできました。日本伝統といわれる文化の多くも中国や朝鮮半島から伝わってきた文化が、日本で伝えられるあいだに変化してきたものです。わたしたちのなかには、大陸や半島の人たちの血が、まちがいなく、少なからず流れているのです。
 関晃氏がその著『帰化人』で次のように述べています。「帰化人はわれわれの祖先なのである。彼らのした仕事は、日本人のためにした仕事ではなくて、日本人がした仕事なのである。」。彼らは朝鮮半島などからやってきた人ではなく、わたしたちの直接の祖先なのだということです。歴史を学ぶと、中国や朝鮮半島の人々と日本の人々は兄弟のような関係にあったことがわかります。兄弟ならば、お互いに認め合うことができるはずなのですが・・・。
 柏原市立歴史資料館では、これまで以上に韓国との関係を深め、古墳だけでなく、さまざまな分野で交流を深めていきたいと考えています。みなさんもご一緒にどうですか?

(安村)

漢城百済歴史博物館

漢城百済歴史博物館

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