大阪広域水道企業団との水道事業の統合を検討しています
近年、水道事業を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、「給水収益の減少」、「水道施設の老朽化」、「技術継承問題」という3つの課題に直面しています。
これらの課題を解決するため、このいわゆる「ヒト」、「モノ」、「カネ」という運営の基盤となるものを強化する必要があり、柏原市では、「水道事業ビジョン」や「水道事業経営戦略」を策定し、水道施設の計画的更新や業務の効率化、経費の節減など、さまざまな取り組みを進めています。
しかし、柏原市の給水人口は、平成9年の約8万1千人をピークに、令和42年には約3万5千人まで減少すると推計されており、これに伴い、水道事業の経営の根幹となる給水収益も今後ますます減少していくことから、令和10年には経営赤字に転落する見通しです。
柏原市では、将来においても、水道サービスを安定的に提供できるよう水道の広域化に取り組む必要があると考え、大阪広域水道企業団と統合に向けた検討、協議を進めてきました。
そして、大阪広域水道企業団において、柏原市が企業団と統合した場合は、統合しない場合よりも将来の料金値上げを供給単価で1㎥当たり9円抑制できるなど、市民のみなさまにとってのメリットとなる統合の効果等について、「統合案」が取りまとめられました。
(注)上記「統合案」は、令和5年1月時点のものです。
詳しい内容については、以下のとおりです。↓
1. 柏原市の水道の現状
1)現状と課題
全国的に水道事業を取り巻く経営環境は、厳しさを増しています。
柏原市においても例外ではなく、人口減少などによる「給水収益の減少」、漏水事故も度々発生しているように「水道施設の老朽化」、そして、ベテラン職員の退職などによる「技術継承問題」という、3つの課題があります。
これらの課題を解決するためには、このいわゆる「ヒト」、「モノ」、「カネ」という運営の基盤となるものを強化することが必要となっています。
2)これまでの取組
そのため、柏原市では、平成21年に水道事業の基本計画となる「柏原市水道ビジョン」を策定し、その10年後の平成31年には、これを改定した「柏原市水道事業ビジョン」、「水道事業経営戦略」を策定し、計画的で効率的な事業の推進に取り組んでいます。
3)健全な経営のための具体的な取組
具体的には、老朽管等の更新、配水池などの施設の更新、事務の効率化(河南地区10市町村での共同水質検査など)があります。
4)給水人口の推移
これは、給水収益に大きく係わる給水人口の推移を示したグラフです。
平成9年をピークにそこからは減少に転じ、令和2年度には約6万9千人、令和42年には約3万5千人になると推計されています。
5)布設年度別の管路延長
これは、令和2年度末時点での水道管の布設年度別の延長を示したグラフであり、横軸は布設年度、縦軸は水道管の延長を表しています。
左側のオレンジ色で示す部分は、水道管の法定耐用年数である40年を経過した管であり、全管路延長257kmのうちの106kmとなっています。
また、10年後の令和12年度末には、新たに40年を経過する管が38km増え、今後も水道管の更新は継続的に必要であることが分かります。
6)自己水・企業団水の水量及び企業団水の受水費の推移
このグラフは、自己水、企業団水の水量と、企業団水の受水費の推移を表しています。
横軸は年度を、縦軸は年間の水量と金額を示しており、棒グラフの水色が自己水、ピンク色が企業団水の水量を示しています。
令和2年度単価では自己水が1㎥当り37.7円、企業団水は72円となってます。
また、赤の折れ線は、大阪広域水道企業団に支払う企業団水の受水費を表したものです。
このグラフから分かるように、水色の自己水の部分は、水量にあまり大きな変化はありません。
しかし、ピンク色の企業団水の部分に着目しますと、平成20年度は、年間約1000万㎥の水量のうち、企業団水は45.8%、受水費にして4億700万円となっていましたが、令和2年度では、年間約800万㎥のうち、企業団水は27.4%、受水費は1億6千万円まで減少していることが分かります。
これは、年間の水量が年々減少していく中、自己水と企業団水をともに減らしていくのではなく、単価の高い企業団水の受水量を減らすことで、受水費を抑制してきたということを示しています。
7)自己水・企業団水の水量及び企業団水の受水費の推移(~令和42年まで)
これは、前ページのグラフの右側に、令和3年度から令和42年度までの推計値を付け加えたものであり、今度は自己水に着目してみます。
縦軸左側の600万㎥のところから、青色の破線を引いていますが、これは、玉手浄水場での自己水の製造能力を示しています。
このまま、人口の減少により、年間の水量が減少していきますと、自己水についても、浄水場の能力一杯までつくることはなくなり、徐々に減らしていくことになります。
そして、令和25年頃には、年間の総水量が浄水場の自己水製造能力である600万㎥を下回ります。
しかし、一方では、浄水場の運転や維持管理に必要な経費はかかり続けるため、今後は、浄水場施設としての効率は悪くなり、その結果、自己水の製造単価は上昇していくものと考えています。
8)損益分岐点
これは、損益分岐点を表すグラフで、横軸に年度、縦軸は金額を示しています。
棒グラフで経費を、固定費と変動費に分けて示していますが、年々上昇しており、反対に、青色の折れ線で示しております事業収益は年々減少しています。
現在は、経費がこの青色の事業収益よりも低い金額であるため、黒字を維持していますが、令和10年度以降は、これが逆転し、経費が事業収益を上回って赤字となり、その後赤字はどんどん膨らんでいくといった状況を示しています。
以上が、柏原市の水道の現状です。
健全な事業運営を行うためには、今後は料金改定は避けることはできず、冒頭にあった「ヒト」、「モノ」、「カネ」といった運営の基盤となるものを強化する必要があり、これに対応する有効な手段として水道の広域化の推進が必要となっています。
このため、将来においても安心安全な水道サービスを安定的に提供できるよう水道事業の広域化に取り組む必要があると考え、令和6年度の大阪広域水道企業団との統合に向けて検討しています。
2.水道事業統合における検討、協議
水道事業における課題を解決するためには更なる運営基盤の強化を図る必要があることから、令和4年1月6日、大阪広域水道企業団と「水道事業の統合に向けての検討、協議に関する覚書」を締結し、水道事業の統合に関する検討を進めています。
3. 大阪広域水道企業団との統合に向けた統合案
大阪広域水道企業団と7団体(柏原市、岸和田市、八尾市、富田林市、和泉市、高石市、東大阪市)は、統合後の施設整備計画、経営シミュレーション、事業運営体制及びそれらに基づく統合効果について検討、協議を行い、その検討結果を首長会議で審議(令和5年1月30日)し、「統合案」として取りまとめられました。
↓統合案についてはこちらをクリック(大阪広域水道企業団ホームページ) ↓
この統合案では、柏原市が企業団と統合した場合は、統合しない場合よりも将来の料金値上げを供給単価で1㎥当たり9円抑制できるなど、市民のみなさまにとってのメリットとなる統合の効果等がまとめられています。
大阪広域水道企業団と統合したらどうなるの?
Q1:大阪広域水道企業団とは?
A1:大阪広域水道企業団は、大阪府営水道を引き継ぐ団体として、平成22年度に大阪府内の42市町村が共同で設立した一部事務組合(特別地方公共団体)です。
Q2:なぜ大阪広域水道企業団と統合しようとしているの?
A2:人口減少に伴う収益の減少や水道施設の老朽化など経営環境は厳しさを増しており、柏原市単独で水道事業を運営するよりも、大阪広域水道企業団という水道専門の組織と統合した方が、効率的で安定的に事業を行うことができると考えているためです。
Q3:なぜ、このタイミングで統合を進めようとしているの?
A3:令和6年度から統合すれば、統合を促進するための期限付きの府補助金を最大限活用することでき、それによって将来の水道料金値上げの抑制が期待できるためです。
Q4:統合したら、市民にとって何か変わるの?
A4:名称は変わりますが、水道に関する手続きなどが大きく変わることはありません。また、特段の手続きをしていただくことなく、今までどおり水道をご使用いただけます。
水道事業の運営基盤の強化を図り、将来も安全・安心な水を安定的に供給していくためには、大阪広域水道企業団との統合は有効な手段ですので、引き続き、大阪広域水道企業団との統合についての検討を継続してまいります。
また、今後も水道事業統合に関する情報は、随時公表いたします。