【コラム】世界かんがい施設遺産 長瀬川と玉串川 (1)世界かんがい施設遺産とは?

2021年5月31日

 世界遺産といえば、ユネスコが登録する世界文化遺産や世界自然遺産を思い浮かべる方が多いことでしょう。これらとは別に、世界かんがい施設遺産という制度があります。世界かんがい施設遺産とは、かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解を深めるとともに、かんがい施設の適切な保全を行っていくために、歴史的かんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定、登録する制度です。
 平成30年8月13日、カナダのサスカトゥーンで開催された第69回ICID国際執行理事会において、日本から候補施設として申請されていた4施設が、世界かんがい施設遺産として登録されました。4施設とは、山形県庄内町の北楯大堰(きただておおぜき)、長野県佐久市の五郎兵衛用水、熊本県熊本市・菊陽町・大津町の白川流域かんがい用水群と、柏原市・八尾市・東大阪市にまたがる「大和川分水築留(やまとがわぶんすいつきどめ)掛(か)かり」です。この「大和川分水築留掛かり」が、長瀬川・玉串川のことなのです。「築留」とは、宝永元年(1704)の大和川付け替えの際に、堤防を築いて大和川の流れをせき留めた地点、つまり付け替え地点のことで、「つきどめ」と呼びます。この築留堤防に設けた樋から大和川の水を取水して利用している用水のことを「大和川分水築留掛かり」といい、普通は長瀬川、玉串川と呼んでいる流れのことです。長瀬川、玉串川は一般の川と違い、大和川付け替え後に、旧大和川のほぼ中央につくられた用水路なのです。
 令和3年1月現在、日本にある世界かんがい施設遺産は42施設となりました。大阪府では、大阪狭山市の狭山池、岸和田市の久米田池に続いて3例目となります。詳細は、農林水産省のホームページに掲載されていますのでご覧ください。
 柏原市にとって馴染みの深い長瀬川・玉串川が世界かんがい施設遺産に登録されたことはうれしいことであり、一人でも多くの人に、その事実と長瀬川・玉串川の重要性を理解していただきたいと思います。当館では、これを記念して築留土地改良区と共催で、企画展「世界かんがい施設遺産 長瀬川と玉串川」を開催することにしました。(安村)

大和川分水築留掛かり大和川分水築留掛かり 位置図

※館長コラム・平成30年度「長瀬川・玉串川が世界かんがい施設遺産に登録!」を改訂しました。

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