【日本遺産】「葛城修験」ー里人とともに守り伝える修験道はじまりの地

2021年8月1日

日本遺産柏原市

竜王社

日本遺産のストーリー

「葛城修験」
ー里人とともに守り伝える修験道はじまりの地

「葛城修験」とは、役行者が最初に開いたとされる葛城の峰々を巡る修験の道のことです。大阪と和歌山の府県境の和泉山脈、大阪と奈良との府県境の金剛山地、総延長112kmに及びます。
役行者は、その途中に法華経を収めた経塚を28基つくり、それを28品(ほん)、あるいは28宿(しゅく)と呼び、これを全て巡って修行をするのです。和歌山県加太の友ケ島にはじまり、最終地が亀の瀬、あるいは亀の尾宿とされています。しかし、明神山を最終地とする説もあり、今回も王寺町の明神山と本市の亀の尾宿の2カ所が選定されています。亀の瀬の経塚の位置ははっきりしませんが、室町時代には、亀の瀬の亀岩の横に宝篋印塔(ほうきょういんとう)が建っていたという記録もあります。現在、葛城修験を巡って修行される方は、亀の瀬にある龍王社を最終地とされているようです。龍王社は、江戸時代の剣先船の終着地点で、剣先船仲間が献灯した灯篭が残っています。

これからの葛城修験

修験の最終地は「亀の瀬」か「明神山」か分かりませんが、どちらが正しいかということではなく、王寺町とともに「『葛城修験』ー里人とともに守り伝える修験道はじまりの地」を広めていくことにしています。今回、「亀の瀬」が2件の日本遺産の中心となりました。亀の瀬周辺の歴史に、ぜひ皆さん注目し、本市の豊かな歴史に目を向けていただきたいと思います。

 

亀岩と大和川亀の瀬にある龍王社

 

 

 

 

▲現在の亀岩(左)と挿絵の「かめ石」(右)
亀岩と同じものとみられる巨石が、江戸時代に刊行された「大和名所図会」の挿絵に「かめ石」として描かれている。通説では「かめ石」「亀岩」から「亀の瀬」と呼ばれるようになったとされる。かつては亀岩の横に宝篋印塔(ほうきょういんとう)が建ち、岩には文字が刻まれていたという。

亀の瀬にある龍王社

 

 

 

 

▲亀の瀬にある龍王社
現在、葛城修験の最終地となっている龍王社だが、「浜神」と表記されている絵図もあり、その名の通り、浜の守り神でもあった。

葛城二十八宿

法華経が納められた28 基の経塚のほか、周囲の寺社や祠ほこらなどを巡って行う修行や行場を総称したものが「葛城修験」である。男女問わず修験者を受け 入れているのも「葛城修験」の特徴といえる。

番号 法華経二十八品 経塚 所在地
1 序品窟 友ケ島 和歌山市加太
2 方便品 神福寺跡 泉南郡岬町多奈川西畑
3 譬喩品 大福山 泉南郡岬町多奈川西畑
雲山峰 和歌山市雲山峰
4 信解品 さくら地蔵 阪南市山中渓
5 薬草喩品 倉谷山 紀の川市打田町倉谷山
6 授記品 志野峠 紀の川市志野峠
7 化城喩品 中津川 紀の川市粉河町中津川
8 五百弟子受記品 犬鳴山七宝瀧寺鈴杵ケ嶽 泉佐野市上大木犬鳴山
9 授学無学人記品 嶺の龍王 紀の川市那賀町和泉葛城山
10 法師品 大威徳寺 岸和田市牛瀧町
11 見宝塔品 七越峠経塚山 和泉市父鬼町
12 堤婆達多品 護摩のたわ朴留 伊都郡かつらぎ町大塚
13 勧持品 向い多和 伊都郡かつらぎ町堀越
14 安楽行品 南葛城山鏡宿 橋本市高野口町南葛城山
光滝寺仏徳多和 河内長野市光滝寺
15 従地涌出品 岩湧山 河内長野市加賀田岩湧山
16 如来寿量品 流谷金剛童子 河内長野市流谷
17 分別功徳品 天見不動 河内長野市天見
18 随喜功徳品 岩瀬経塚山 河内長野市サイノ神谷経塚山
19 法師功徳品 神福山 五條市神福山
20 常不軽菩薩品 石寺跡 五條市水野
21 如来神力品 金剛山 御所市金剛山湧出嶽
22 嘱累品 水越多和 御所市関屋
23 薬王菩薩本事品 倶尸羅 御所市猿目
24 妙音菩薩品 平石峠 南河内郡河南町平石峠
25 観世音菩薩普門品 高貴寺香華畑 南河内郡河南町平石
26 陀羅尼品 二上山 葛城市當麻町
27 妙荘厳王本事品 逢坂 香芝市逢坂
28 普賢菩薩勧発品 亀の尾宿 柏原市亀の瀬
明神山 北葛城郡王寺町明神山

葛城二十八宿

祝 日本遺産認定

この度、「龍田古道と亀の瀬」、「葛城修験」が日本遺産に認定されました。日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化、伝統を語るストーリーを文化庁が認定するものです。これまでに83件が認定されており、今年度は69件の申請中、21件が認定され、104件となりました。日本遺産の認定は今年度で打ち切られることになっており、その最終年度に、本市は2件の認定を受けることができました。

どちらも昨年に続いて2度目の挑戦でした。「葛城修験」は、和歌山県の5市町、大阪府の9市町村、奈良県の5市町が共同で申請していました。

  • 文化庁の評価コメント
    役行者由来の修験の場としての注目は興味深く、テーマが分かりやすくてインパクトがある。体験することでストーリーへの理解も深まる。

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にぎわい観光課
電話072-940-6165