わずか8か月の大工事~2~

2018年9月16日 (文化財課)

工事が早くできた理由・1

 長さ14km余り、川幅180m、堤防と左岸堤防に平行して掘られた落堀川を合わせると幅260mもの大きな川を造る工事が、わずか8か月で終わっています。しかも、姫路藩の撤退などによる中断を考えると、実質は7か月ほどとなります。どうして、こんなに早く工事を終えることができたのでしょうか。そこにはさまざまな理由が考えられますが、ここでは、大きく三つの理由を取り上げてみたいと思います。まず一つめは、綿密な測量と、それに基づく設計によって、無駄なく工事が行われたことです。

 工事に着手する前に、綿密な水盛(みずもり)を行っています。水盛とは地面の高さを調べる測量のことで、現在では水準測量とよばれています。かなり誤差を含んでいるとは思いますが、1分(0.3cm)の単位まで測量しています。その測量結果に基づいて、できるだけ川底を掘らないように新川の傾斜を決めています。掘るというのは、とてもたいへんな作業なので、できるだけ掘りたくなかったのです。

 そして、測量結果に基づいて、工事にともなう掘削土量と堤防に必要な盛土量をそれぞれ計算し、その数値ができるだけ等しくなるようにしています。土が余ればどこかに処分しなければなりませんし、足らなければどこかで掘削して運んでこなければなりません。掘削土をできるだけ近くの堤防盛土として利用するのがもっとも効率的な工法となります。だから掘削土と盛土の量をできるだけ等しくしたかったのです。

  このように、綿密な測量と正確な計算によって、しっかりとした設計をおこない、無駄のないように進めたことが、工事を早く終えることができた理由の一つでした。300年以上も前ならば測量などせずに適当にやったのではないかと思う人もあるでしょうが、当時の測量技術や計算力は、すばらしいものがあったのです。

 なお、関心のある方は、コラム「知恵と技術」の2~5もご覧ください。
・コラム「知恵と技術」(2)(3)(4)(5)

(文責:安村俊史)

お手伝い大名の分担図
図:お手伝い大名の分担(『ジュニア版 甚兵衛と大和川』より)

【秋季企画展のご案内】
平成30年9月12日(火)から12月9日(日)まで、秋季企画展「わずか8か月の大工事-大和川のつけかえ-」を開催しています。
ぜひ、お越しください。

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