玉手山古墓群

2017年11月17日 (文化財課)

 1989年に玉手山3号墳の前方部近くの西側斜面が調査され、奈良時代から平安時代にかけての火葬墓と土坑墓が100平方メートルの範囲に58基も発見されました。そのうち骨蔵器を伴い、確実に火葬墓といえるものは35基あります。墓坑は直径30~40cmの平面円形が多く、炭・灰を埋土とするものは少ないのが特徴です。骨蔵器を囲む外槨施設は確認されていません。

 古墓群の中には、8世紀以前に遡る火葬墓が含まれている可能性もありますが、骨蔵器を伴うものについては、9世紀前葉から11世紀前葉の約200年の間に営まれたと思われます。

玉手山古墓全体図
玉手山古墓群全体図

玉手山古墓北半
調査区北半(北から)

北半全景
調査区北半(西から)

調査区南
調査区南半(南から)

南半全景
調査区南半(西から)

玉手山調査風景
調査風景(写真奥が玉手山3号墳)

玉手山山田1号墳(仮称)

 1989年の調査では、古墳も1基見つかっています。直径約7.5mの円墳で、周溝もありました。主体部は見つからず、石室等の痕跡もないので、木棺直葬の可能性が高いと考えられます。

 埴輪も出土していますが、周辺からの転落によるもので、この古墳のものではないようです。また、5世紀後半の須恵器の杯が完形品で見つかっており、こちらはこの古墳に供えられたものと思われます。

 この古墳が、3世紀末~4世紀初めに造られた玉手山1~3号墳と繋がりや関わりがあるのかは、分かっていません。

山田1号墳
1号墳 平面図・断面図

玉手山山田1号全景
1号墳全景(北から)

山田1号墳遺物
1号墳の周溝から見つかった須恵器の杯

骨蔵器

 骨蔵器には、須恵器と土師器があります。須恵器の骨蔵器は、18号墓以外はすべて壷です。正立していたものが6基、倒立していたものが2基です。18号墓は、墓坑底に扁平な石を置き、口縁部を完全に打ち欠いた骨蔵器の平瓶に、土師器の杯を蓋にして倒立させている珍しい例です。

 土師器の骨蔵器はほとんどが甕ですが、鉢(14号墓)、片口鉢(17号墓)もみられます。正立していたものが7基、倒立していたものが15基です。ほとんどが土師器の杯や皿を蓋として使用しています。

 唯一、34号墓は緑釉陶器を骨蔵器とし、口縁部を打ち欠いた緑釉陶器の壷に土師器小皿を倒立で被せ、さらにやや大形の高台付の皿を蓋にして埋められています。

17号墳
倒立して片口鉢が埋められていた17号墓

18号墳
倒立して平瓶が埋められていた18号墓

34号墳
唯一骨蔵器に緑釉陶器が使われていた34号墓

出土品

  注目すべきものとして、14号墓の骨蔵器内には瑞花双鳳八稜鏡(ずいかそうほうはちりょうきょう)が、20号墓の骨蔵器内には文様不明の銅鏡が副葬されていました。また、いくつかの墓坑内から土師器片が、骨蔵器を伴う火葬墓からは、42号墓で土師器、9号墓で鉄釘3本が出土しています。他に埴輪や鉄製品もありました。

玉手山古墓銅鏡
銅鏡(左:14号墓・瑞花双鳳八稜鏡 右:20号墓・文様不明)

14・15号墓
瑞花双鳳八稜鏡が出土した14号墓【手前】

42号墓
土師器が出土した42号墓

主な古墓

9号墓 平面円形の土坑に須恵器の壷を正位に埋納しています。骨蔵器から火葬骨と炭、墓坑内から珍しく釘3本が出土しています。

9号墓遺構図
9号墓 平面図・断面図

14号墓 骨蔵器内から瑞花双鳳八稜鏡が出土しています。土師器椀を正位に置き、鏡を入れ、鉢を上から被せています。鏡の上下層から炭と火葬骨が出土しました。

14号墓遺構図
14号墓 平面図・断面図

14・15号墓
14【手前】・15【奥】号墓(西から)

17号墓 楕円形土坑で、小さな鉢を下に、大きな鉢を上から被せています。土器内に少量の炭と火葬骨が出土しました。また周辺から小刀が出土していますが、この墓に伴うものかは不明です。

17号墓遺構図
17号墓 平面図・断面図

17号墓
17号墓(西から)

18号墓 平瓶を骨蔵器としていた古墓18は、墓坑底に扁平な石を置き、口縁部を完全に打ち欠いた平瓶に土師器の杯を倒位に被せて蓋とし、それを倒立させて敷石の上に埋置している珍しい例です。

18号墓遺構図

18号墓 平面図・断面図

18号墓
18号墓(西から)

20号墓 骨蔵器内から文様不明の稜を有する銅鏡が出土しています。大皿2枚を裏返し、その上に鏡を載せ、さらにその上に甕を被せてありました。鏡は、多量の炭と火葬骨の中にありました。

20号墓遺構図

20号墓 平面図・断面図

34号墓 骨蔵器に唯一緑釉陶器が使われていた火葬墓です。口縁部を打ち欠いた緑釉陶器の壷に土師器小皿を倒位で被せ、さらにやや大形の高台付の皿を倒位で被せて蓋とし、これを倒立状態で埋置しています。

34号墓
34号墓(南から)

42号墓 墓坑内から土師器片が出土している遺構はいくつか認められますが、骨蔵器を伴う火葬墓から副葬された土師器が出土した例はここだけです。墓坑上層から杯2点が出土しています。

42号墓遺構図
42号墓 平面図・断面図

42号墓
42号墓(西から)

43号墓 隅丸長方形の土坑内から土師器壷、須恵器杯、火葬骨が出土しました。埋土は炭・灰を主としており、伴出した須恵器杯、土師器甕は7世紀中頃の土器と推定されるものです。7世紀代の火葬墓の可能性があり、注目されます。

43号墓遺構図
43号墓 平面図・断面図

43号墓
43号墓(西から)

その他の古墓

12号墓
12号墓(北から)

22号墓
22号墓(西から)

24号墓
24号墓(西から)

38・39号墓
38【手前】・39【左奥】号墓(南から)

40号墓
40号墓(西から)

41号墓
41号墓(西から)

44・55号墓
44【右】・55【中央】号墓(南から)

49・58号墓
49【中央】・58【右】号墓(西から)

※このページ内の図は、いずれも『柏原市教育委員会 「柏原市埋蔵文化財発掘調査概報1989」』より出典しています。

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