ヌク谷南塚古墳

2016年10月23日

 ヌク谷北塚古墳のすぐ南にある直径11mの円墳です。西は松岳山古墳に接し、その墳裾の壇状遺構がこの部分まであったとすると、重なってしまう位置関係にあります。

 梅原末治氏によると、墳丘は板石積ではなく自然石で葺かれ、白色礫も散在したとあり、また円筒埴輪の破片も多数認められたことから、墳丘に埴輪が樹立されていたようです。

 松岳山古墳の石棺と同様に、この古墳も1877年に税所篤によって発掘され、刀剣および銅剣の出土が記録されていました。発掘に関わった人たちの証言では、埋葬施設は竪穴式石室だったようです。

 1961年の宅地造成の際に、赤色顔料が付着した板石が多数出土したことを北野耕平氏が紹介しており、竪穴式石室の存在を裏付けています。

発掘された銅剣

  鉄剣片が小片で多数出土する中、銅製の剣のみが完形で出土したということです。堅山家から見つかった絵図によれば、片刃の短刀です。その後行方不明でしたが、これと思われる 青銅製の短刀が京都大学総合博物館に所蔵されており、1877年出土のものに間違いないようです。長さは23cm、茎には2つの小さい孔がみられます。保存状態は良好で、刀身には細かい布の痕跡があります。

  「1920年 小川白楊寄贈」となっており、何らかの経緯で、京都大学に所蔵されることになったようです。目録では飛鳥~奈良時代のものとされています が、竪穴式石室から玉類や鉄刀剣類とともに出土したということや、布にくるんだ副葬などから、古墳時代前期の銅製刀と考えてもよいのではないでしょうか。

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