玉手山8号墳

2016年10月16日

 7号墳から100mほど南の玉手山丘陵最高所に位置する前方後円墳です。墳丘東側は、貯水タンク設置などで地形が改変、西側は1982年以降の地滑りによって前方部から後円部北西にかけて大きく崩落し、現状は一部で崖状となっています。

8号墳全景
8号墳全景(写真左下)

8号墳測量図
8号墳墳丘復元図

 墳丘の崩壊過程を観察しましたが、一部で葺石かと考えれられる円礫を確認したのみで、埋葬施設や埴輪列についてはまったく確認できませんでした。墳丘の大半が地山を整形して築造したためか、現状では、墳丘全面に砂礫層中心の地山が露出しています。

規模

 墳丘の崩壊が続く1986年に墳丘測量しましたが、範囲や規模を明確にすることはできませんでした。測量結果と過去の地形図などから、墳丘長80m、後円部直径40m、前方部幅30mで、前方部があまり広がらずにのびる前方後円墳と復元できます。

8号墳後円部
8号墳 後円部崩壊面

埋葬施設

 墳丘の崩落が後円部墳頂近くまで迫っているため、後円部に埋葬施設が存在するならば断面に露出するはずですが、これまで確認できていません。現状からは、少なくとも竪穴式石室の可能性は低いようです。

 しかし、北野耕平氏によると、約40年前に一部が盗掘された状態の東西方向にのびると考えられる竪穴式石室を確認し、鉄剣の出土をみたということです。これが事実ならば、石室はかなり以前に徹底的に破壊されてしまったと考えざると得ません。残念ながら、その事実を確認できる資料が存在せず、埋葬施設については不明です。石室が存在すれば、後円部の高さは現状よりも1mは高かったと推定されます。

出土品

 墳丘の崩壊土から埴輪片を、少量、採集しています。これで時期を決定するには問題がありますが、他に時期を判断できる資料がありません。
 埴輪片の中には楕円筒埴輪と思われる破片があること、器壁がやや厚いことなどから考えると、8号墳は古墳群の中では、比較的新しいと考えられますが、詳細については今後の課題です。

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