~江戸時代の国分村7~

2016年5月16日

祭りで暴れる若者

 国分村の人が、町奉行に申し出た一通の嘆願書があります。差出人は、定四郎が幼少のため代理として周助という人物によるものとなっています。そこには次のようなことが書かれています。

 文政4年(1821)の6月12日、氏神(国分神社)の神事があり、村の人たちはみんな休みでした。そのとき、国分村新町の若者たちが大勢集まって、だんじりを出してきました。そして、十人ばかりの若者が、定四郎の家へ庭の木がじゃまになるので切ってくれと言って来ました。しかし、以前からある木なので切られるのは困ると村の月番庄屋へ切らないように言ってくれとよくよく頼んだのですが、庄屋の代理である年寄兵右衛門は十分に対応してくれませんでした。そのあと、若者たちは家へやってきて、木を切るだけでなく屋根瓦なども壊して家の中にも入ってきそうな勢いでした。家には幼い者と女しかいないので、抗議をすることもできずにこわい思いをしていました。

 もう一度兵右衛門に相談に行ったところ、不在で対応してもらえませんでした。家の者は怖くてみんな逃げだしてしまい、いったいどうすればいいのだと思い悩んでいました。

 すると、その夜中に何者かが石や瓦を持って、家の門を打ち壊しに来たようです。夜中だったので、みんな逃げてしまって誰のしわざかわかりませんでした。しかし盗賊のしわざとは考えられません。村の乱暴者のしわざだと思われますが、抗議できる者もおらず、ほんとうに嘆かわしいことだと思っております。恐れおおいことではありますが、御奉行様に申し上げさせていだきます。もっとも、だれのしわざかを探してほしいとは思っておりません。お耳に入れておいていただければ、それで結構です。

 村の若者の乱暴に困っている様子がよくわかる嘆願書です。この嘆願書が実際に提出されたのかどうかはわかりません。

(文責:安村俊史)

乍恐以書附奉願上候

「乍恐以書附奉願上候(おそれながらかきつけをもってねがいあげたてまつりそうろう)」

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