公共下水道整備第8次五箇年計画

2021年3月15日

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  1. はじめに
  2. 公共下水道事業計画と整備状況
  3. 公共下水道整備第8次五箇年計画の整備計画
  4. おわりに

1.はじめに

公共下水道は、衛生的で快適な生活環境の確保や浸水被害を軽減するなど、生命と財産を守る役割を担い、日々の市民生活と社会経済活動を支えるとともに、健全で清らかな水環境を創出する重要な社会基盤(インフラ)です。

本市の下水道事業は、昭和40(1965)年度に国分第1雨水ポンプ場の供用を開始した後、昭和46 (1971)年度に公共下水道としての雨水整備に着手しました。また、汚水整備は流域下水道幹線が本市域に延伸された昭和61(1986)年度に着手した後、鋭意進捗を図り、現在に至っています。本市では、公共下水道の中期計画となる「柏原市公共下水道整備五箇年計画」を策定し、汚水整備を重点的に取り組んできました。前計画の第7次五箇年計画では汚水整備の人口普及率は令和2(2020)年度末で87.9%となる見込みです。その他、公共下水道の計画区域外及び公共下水道の計画区域内にあって当面の間公共下水道整備が見込めない地域の生活排水対策として、浄化槽整備事業にも取り組んでいます。

このように公共下水道整備を計画的に進めていますが、初期に整備した雨水ポンプ場や管路施設等の老朽化が顕著になってきています。このような公共施設の老朽化は全国的な問題となっており、国の公共施設に関する方針も整備推進から維持管理・改築更新へとシフトしてきています。それに加え、地震など大規模災害の発生に備えた管路施設の耐震化や、台風時の大雨や突発的な集中豪雨などによる浸水等の発生に備えた、雨水ポンプ場の改築更新や既存水路等の改修が重要な取組となっています。

これらのことから、第8次五箇年計画では、これまでの基本方針である「汚水整備の推進」に、老朽化している雨水ポンプ場や管路施設等の「維持管理」、「改築更新」の観点を加え、策定するものとします。

しかしながら、人口減少や節水機器の普及等により社会構造が著しく変化しており、ここ数年、下水道使用料収益が減少しています。この減少傾向は、今後も続くものと考えており、下水道事業の経営環境はさらに厳しくなっていくと予測しています。

そのため、第8次五箇年計画においては、将来にわたり安定した持続可能な下水道事業を運営するため、「中長期の経営の基本計画」(柏原市下水道事業経営戦略)を策定し、業務及び経営の効率化、経費削減に取り組み、適宜、計画の見直し等を行いながら、効果的な汚水整備と雨水整備に努めるものとします。

2.公共下水道事業計画と整備状況

(1)公共下水道事業計画について

本市の公共下水道は流域関連公共下水道として計画されており、汚水は大阪府の流域下水道幹線を経由し、大阪府の汚水処理場で処理され河川に排水されます。市域の中心部を流れる大和川を境に、北側の区域を「寝屋川南部流域関連公共下水道」(流域下水道竜華水みらいセンター関連区域)と称し、排除方式は、長瀬川以東の柏原東排水区が汚水と雨水を別の管渠に流す分流式、長瀬川以西の柏原西排水区は汚水と雨水を同じ管渠に流す合流式が採用されています。

柏原東排水区には、大阪府の流域下水道柏原八尾幹線、それに接続する本市の法善寺幹線、法善寺第2幹線、高井田上市幹線の汚水幹線があり、汚水は竜華水みらいセンター(八尾市)で処理されています。

雨水幹線は、平野法善寺雨水幹線、法善寺西雨水幹線、堅下雨水幹線、恩智川雨水幹線があり、いずれも恩智川に接続し、雨水を排水しています。

柏原西排水区には、大阪府の流域下水道飛行場北幹線と飛行場南幹線、それに接続する本市の本郷幹線の合流幹線があり、汚水と雨水は竜華水みらいセンターで処理されています。

また、大和川から南側の区域を「大和川下流東部流域関連公共下水道」(流域下水道大井水みらいセンター関連区域)と称し、全域を国分排水区とし、排除方式は分流式が採用されています。

国分排水区には、大阪府流域下水道石川右岸1幹線、それに接続する本市の円明幹線、国分本町幹線、田辺国分幹線の汚水幹線があり、大井水みらいセンター(藤井寺市)で処理されています。

雨水幹線は、片山雨水幹線、田辺国分雨水幹線があり、大和川に接続し、雨水を排水しています。しかし、大和川の水位が上昇すると自然流下で排水することができなくなるため、雨水ポンプによる排水が必要となります。

そのため、本市には一部暫定供用も含めて供用開始している片山雨水ポンプ場 、国分第1雨水ポンプ場、国分第2雨水ポンプ場、国分市場第1雨水ポンプ場があり、その他に国分市場第2雨水ポンプ場の計画があります。また、浸水対策用として片山浸水ポンプ場、玉手ポンプ場、支川4浸水ポンプ場があります。

(2)整備状況について

1  汚水整備状況

昭和61(1986)年度に大阪府の流域下水道幹線が本市域に延伸されたことから、本市は公共下水道の汚水整備に着手しました。公共下水道を効率的に進めるため、整備方針や整備面積等を示した中期計画 「柏原市公共下水道整備五箇年計画」を作成し、計画的に汚水整備を進めています。第7次五箇年計画の最終年度である令和2(2020)年度末での人口普及率は87.9%となる予定で、第7次五箇年計画の目標人口普及率87.6%を達成する見込みです。

表-1  公共下水道整備(計画年次)五箇年計画における人口普及率の進捗状況

計画年次 第1次 第2次 第3次 第4次 第5次 第6次 第7次
期間 S61~H2 H3~H7 H8~H12 H13~H17 H18~H22 H23~H27 H28~R2
人口普及率 11.1% 32.0% 53.9% 67.1% 79.5% 85.1% 87.9%

※(  )内は、見込値を示す。

2 雨水整備状況

公共下水道としての雨水整備は、一級河川恩智川の改修と併せ、昭和46(1971)年度に柏原東排水区から着手しました。現在、各排水区における雨水整備状況については次のとおりです。

柏原東排水区は、浸水被害の恐れがあった地域の整備が概ね完了しています。

柏原西排水区は、汚水と雨水を同じ管路で流す合流式の排除方式であるため、雨水整備は汚水整備に合わせて進捗し、面積整備率は、令和2(2020)年度末で82%を超える見込みです。

国分排水区は、大和川の水位が上昇すると地形的に雨水を自然流下で排水することができないため、強制的に排水を行う雨水ポンプ場の整備を優先的に進めてきました。そのため、雨水管路等については未整備管路が多く残っています。

雨水ポンプ場の整備状況については、昭和40(1965)年度に国分第1雨水ポンプ場(排水能力1.00㎥/秒)を供用開始しました。その後、昭和61(1986)年度に片山浸水ポンプ場(排水能力3.00㎥/秒)と国分第2雨水ポンプ場(排水能力7.16㎥/秒)を供用開始し、続いて、昭和62(1987)年度に市場浸水対策ポンプ場(排水能力1.50㎥/秒)を供用開始しています。この市場浸水対策ポンプ場は、平成14(2002)年度に排水区域を見直し、新たに公共下水道の国分市場第1雨水ポンプ場として都市計画決定を行って、排水能力を高め、現在の排水能力は2.33㎥/秒となっています。さらに、石川、片山、玉手及び円明地域の浸水解消を図るため、平成23(2011)年度に片山雨水ポンプ場(排水能力5.16㎥/秒)を供用開始しています。

3 生活排水対策事業の状況

平成19(2007)年度から公共下水道の計画区域外の地域と公共下水道の計画区域内にあって当面の間公共下水道整備が見込めない地域の生活排水対策事業として、個人設置型の浄化槽設置整備事業を開始しています。第7次五箇年計画の最終年度である令和2(2020)年度末までに浄化槽29基の設置となる予定です。

平成25(2013)年7月からは、公共下水道の計画区域外における生活排水対策事業を促進するため、市町村設置型の公共浄化槽等整備推進事業を開始しています。この事業はPFI事業で実施しており、民間事業者が浄化槽の設計から設置工事、維持管理まで一括して行っています。第7次五箇年計画の最終年度である令和2(2020)年度末までに浄化槽91基の設置となる予定です。

表-2 生活排水対策事業の浄化槽設置基数状況

計画年次 第5次 第6次 第7次 合計
期間 H18~H22 H22~H27 H28~R2 H18~R2
個人設置型 17基 8基 (4基) (29基)
市町村設置型 - 60基 (31基) (91基)

※( )内は、見込値を示す。

 

3.公共下水道整備第8次五箇年計画の整備計画

整備計画では、これまでの整備状況を踏まえた課題や、これから進める事業の優先度等を検討し、次の3項目を公共下水道整備第8次五箇年計画の整備方針としました。

なお、本計画では将来にわたり安定した持続可能な下水道事業の運営を図ることを基本とし、計画期間中において下水道事業を取り巻く環境が著しく変化した場合は、随時改定を加えていくものとします。

(整備方針 1)
『汚水整備の推進』

これまでと同様に計画的な汚水整備の推進に努め、令和7(2025)年度末人口普及率89.6%を目標とします。

(整備方針 2)
『浸水対策(雨水整備)の推進』

大規模な浸水被害を軽減するため、浸水対策として雨水整備を推進します。老朽化している雨水ポンプ場や管路施設の点検・調査を実施し、柏原市下水道ストックマネジメント計画による改築更新を進めます。

(整備方針 3)
『生活排水対策の推進』

個人設置型の浄化槽設置整備事業、市町村設置型の公共浄化槽等整備推進事業を継続し、公共下水道の計画区域外の地域と公共下水道の計画区域内にあって当面の間公共下水道整備が見込めない地域の生活排水対策を進めます。

以上の整備方針に基づき、次のとおり事業計画を定めます。

(1)汚水整備計画

第8次五箇年計画では、柏原東排水区4ha、柏原西排水区3ha、国分排水区11ha、計18haの整備を行います。整備に伴い、人口普及率は1.7%向上し、89.6%となります。

表-3  汚水整備の普及率

 排水区 

 都市計画

決定面積
 (ha)

第8次五箇年計画

(期間内事業量) 

 最終年度(令和7年度末)計画目標値   

 整備面積 

 (ha)

 整備人口 

 (人)

整備面積 

 (ha)

 面整備率 

 (%)

 整備人口 

 (人)

 普及率 

 (%)

柏原東  328 4 200 249 76 23,400 95.2
柏原西  135  3 260 114 84 10,000 88.0
国分  507 11 570 335 66 23,200 87.2
市計  970 18 1,030 698 72 56,600 89.6

(2)浸水対策(雨水整備)計画

第8次五箇年計画では、老朽化が進む雨水ポンプ場や管路施設等を重点に改築更新を進めるとともに、台風時の大雨や突発的な集中豪雨などによる浸水被害の軽減をより図るため、施設計画の見直し等を行います。

1 国分第1雨水ポンプ場、国分第2雨水ポンプ場及び国分市場第1雨水ポンプ場において老朽化している雨水ポンプ場施設や電気設備等の改築更新工事を行います。

2 下水道管路等は、突発的な集中豪雨などによる浸水等に対応するため、計画的に点検・調査を実施し、効率的な維持管理や改築更新を進めます。

3 台風時の大雨や突発的な集中豪雨などによる浸水被害等を踏まえ、国分市場、国分東条町及び国分本町地区を集水区域とする国分市場第2雨水ポンプ場の基本計画の見直しを行うとともに、効率的かつ効果的な浸水対策の方法についても検討を行います。

4 片山雨水ポンプ場の集水区域における浸水被害等を軽減させるため、ポンプ場機能を最大限活用できるよう流入する管路施設等の周辺整備や雨水ポンプ場の設備整備を行います。

(3)生活排水対策(浄化槽整備)計画

公共下水道の計画区域内における個人設置型の浄化槽設置整備事業については、浄化槽の設置目標は、5年間で15基とします。また、公共下水道の計画区域外における市町村設置型の公共浄化槽等整備推進事業については、浄化槽の設置目標は、5年間で25基とします。

4.おわりに

本計画は、令和2(2020)年度までの公共下水道整備第7次五箇年計画の後継計画として策定しました。策定に当たっては、上位計画となる「柏原市総合計画」、「柏原市都市計画マスタープラン」のほか、関係する計画を踏まえるとともに、これまでの公共下水道事業の進捗状況を鑑み、今後の整備方針や5年間に行う整備計画等を取りまとめています。

第7次五箇年計画を推進したことにより、汚水整備の人口普及率は87.9%となる見込みであり、本計画においても引き続き汚水整備を推進していくことが基本となります。

しかしながら、財政状況は、急速な人口減少や節水機器の普及等の進展により益々厳しさが増すと見込まれている中、公共下水道事業は、より計画的かつ効果的に進めることが重要となっています。

未整備地区における居住人口やその人口構成、地形的な特性などを踏まえると、下水道管を布設することに比べ、浄化槽を設置する方が技術的にも費用的にも、より効果的な整備手法となる場合があります。本計画において、利用者のさらなる負担軽減を図るためにも、整備に係る費用の比較や地域特性を調査し、最適な整備手法の検討にも取り組みます。

また、近年の台風時の大雨や突発的な集中豪雨などにより浸水被害が多く発生しており、雨水ポンプ場の老朽化対策の重要度が高くなってきています。雨水ポンプ場の老朽化対策には多額の費用が必要になりますが、ストックマネジメント計画に基づき、費用の平準化を図り、優先度の高い施設(設備)等から改築更新を進めてまいります。また、改築更新にあたっては、現在の施設(設備)計画の見直し等も行い、効率的かつ効果的な整備に取り組んでまいります。

なお、将来にわたり持続可能な下水道事業を運営するため、下水道事業経営戦略に基づき、社会経済情勢の著しい変化に対応するとともに、PDCAサイクルで本計画の見直しを必要に応じて行います。
 

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電話072-972-1647