~おひなさん9~

2016年3月17日 (文化財課)

ひな道具

 もともとは家庭で手づくりでつくられていたひな人形ですが、江戸時代の初め(400年前)から商品として売られるようになりました。最初のころは、肩からつづら懸けにした人形売りが売り歩いていたようです。

 それが、江戸時代中期(18世紀)ごろから、たくさんの店が集まって市店が立つようになりました。2月の後半から3月の初めまで、期間を限ってひな人形やひな道具が売られるようになったのです。これを「ひな市」といいます。

 江戸では、日本橋十軒店(現在の日本橋室町3丁目辺り)のものがもっとも有名でした。往来の両側にひな人形の店が立ち、ふだんはほかの商売をしている店も、ひな市のあいだだけひな商人に店を貸しました。通りにも仮店が並び、これを中店(なかだな)といいました。大きな店ではひな人形が売られ、中店ではひな道具や屏風、雪洞などが売られていました。

 その様子が『江戸名所図会』に描かれています。大勢の人々で賑わっている様子が窺えます。これは、天保年間(1830~44)のころの様子です。その挿絵には、「内裏雛 人形天皇の 御宇とかや」という芭蕉の句が載せられています。

 十軒店以外にも、江戸では尾張町、人形町、浅草茅町、池端仲町、牛込神楽坂上、麹町3丁目、芝明神前などにひな市が立ちました。京都では、四条通、五条通の東に、大坂では御堂前(大阪市中央区の御堂筋)、順慶町(大阪市中央区南船場)などにひな市が立ちました。

 人々にとっては、ひな人形を買い揃える一年に一度の楽しみだったのでしょう。とりわけ、女の子が生まれた家では、大事な行事だったことでしょう。

 これらひな市が立っていたところでは、今でも人形店が多く残っているところもありますが、次第に百貨店(デパート)などでひな人形が販売されるようになり、ひな市もみられなくなりました。

(文責:安村俊史)

江戸名所図会

『江戸名所図会』より

【特集展示のお知らせ】平成28年1月5日(火)から4月24日(日)まで、特集展示「おひなさん」を開催しています。

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