~おひなさん5~

2016年2月16日

ひな人形の飾り方

 江戸時代の初めごろから、男女一対のひな人形が定着していきました。これを「内裏びな」といいます。男の人形を男(お)びな、女の人形を女(め)びなと呼びます。

 現在では、男びなを右(向かって左)、女びなを左(向かって右)に飾ることが多いと思います。結婚式などでも、新郎が右、新婦が左です。この並び方は、ヨーロッパの風習から始まったものなのです。昭和天皇と皇后が、結婚式のときにこのように並ばれたことが始まりだと言われています。

 日本では、古代から男が左、女が右にならぶことが多かったのです。天皇と皇后の並び方もそうでした。そのため、ひな人形も男びなを左、女びなを右にならべることが多かったのですが、必ずしも決まったものではなかったようです。江戸時代のひな人形を飾った絵を見ていると、意外と男びなを右、女びなを左に飾っている例があります。

 内裏びな以外に、隋身、官女、五人囃子、仕丁などの人形が飾られます。これも江戸時代の中ごろから普及していったようです。隋身は、上皇や関白を護衛する兵で、剣や弓矢を持っています。京都で生まれ、必ず一対になります。官女は三人で、両脇に銚子を持った官女、中央に三宝を持った官女が並びます。中央の官女はお歯黒を塗った既婚の女性です。官女も京都から始まりました。五人囃子は江戸で生まれたようです。向かって右から謡、横笛、小鼓、大鼓、太鼓の順に飾られます。だんだん持ち物が大きくなると覚えておくと便利です。仕丁(じちょう)は衛士(えじ)とも呼ばれます。官庁で雑役に従事した人たちで、ほうきなどを持っています。怒り上戸、笑い上戸、泣き上戸の三人上戸とするものがよくみられます。

 隋身や官女など皇室や公家に仕える人たちの人形が京都で生まれ、にぎやかに音楽をかなでる人形が江戸で生まれたのは納得できるように思います。これら京都と江戸のひな人形が、互いに影響を与えあい、少しずつ飾り方まで約束ごとができていったようです。

 これら以外にも、犬筥(いぬばこ)と呼ばれる張り子の犬や、這子(ほうこ)、そのほかにもいろいろな動物や人形を飾ることがありました。とにかくにぎやかに、ということでしょうか。

(文責:安村俊史)

江戸時代のひな飾り

江戸時代のひな飾り(『大和耕作絵抄』より)

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