知恵と技術~大和川のつけかえ工事10~

2015年10月19日 (文化財課)

毎日1万人の人が

 大和川のつけかえ工事に従事した人々の正確な人数はわかりませんが、見積りでのべ約240万人、実際にはもう少し多く、270~280万人とする考えもあります。仮にのべ240万人として、工事期間が8か月ですから約240日で割ると、1日平均1万人となります。実際には8か月弱のうえ、もう少し人数が多かったと考えられます。工事の盛んなときには、1日1万数千人の人々が働いていたことでしょう。

 それでは、工事に参加した人たちは、どのような人たちだったのでしょう。農家から強制的に連れ出された、あるいは奴隷のように働かされたと考える人もいるようですが、決してそんなことはありません。働いた人は、きちんと日当(1日の給料)をもらっていました。また、工事を実施することになった明石や三田、岸和田などの大名が、自分の領国から人を連れてきたと考える人もあるのですが、それも違うようで、各大名はお金だけ出して人を雇っていたようです。

 しかし、幕府や大名が直接人を雇うのではなく、人を集めてくれる人に任せ、その人たちが現場で働く人を集めていたようです。このような人の存在が、大きかったようです。また、下請け、孫請けのようなこともあったようです。現場の作業はこのような人たちに任せ、幕府からは、指導や監督をする人、技術者などを派遣していたのです。

 残念ながら、工事についての史料がほとんど残っていません。工事の日誌や金銭の出し入れを記す帳簿などがあれば、工事のようすがもっとわかるのですが、史料がないためにわからないのです。「工事で死んだ人やケガをした人もいたのでしょう?」とよく質問されます。おそらく、亡くなった人もいたでしょうが、わからないのです。

 それにしても、1日に1万人以上もの人たちを集め、その人たちが働けるようなシステム、環境があったことに驚きます。それは、当時の大坂の経済が、如何に充実していたかということを示しているともいえるでしょう。

(文責:安村俊史)

大和川付け替え工事想像図
大和川付け替え工事想像図(八尾市立歴史民俗資料館提供)

【秋季企画展・特集展示のお知らせ】
平成27年9月15日(火)から12月6日(日)まで、秋季企画展「知恵と技術-大和川のつけかえ工事-」を開催します。また、特集展示「堤防を守る」も同時開催しています。

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