鳥坂寺と古墳
2016年11月15日
寺の造成時に壊された古墳
僧房の西側や、高井田遺跡の尾根上にあった5~6世紀の古墳は、7世紀後半ごろの造成時に破壊されていました。塔のある天湯川田神社にも、4世紀の古墳があったようで、周辺から盾形埴輪、朝顔形埴輪が採集されています。
盾形埴輪(塔跡出土)
塔の雨落溝は、石室に使用されていた板石を転用したものでしょう。
雨落溝
平成22年の金堂南側の調査でも埴輪片や板石が見つかりました。金堂造成の際、古墳を削り、その土を盛土として利用したようです。
金堂南側で出土した埴輪片と板石
7世紀の古墳
建物群のある高井田遺跡東側斜面には、7世紀に築造された古墳が2基見つかっています。
安堂第5支群16号墳は、直径21m前後の円墳で、自然石の乱石積みによる両袖式石室です。石室床面出土の土器から、築造は7世紀前葉頃とみられます。
安堂第5支群16号墳
安堂第5支群16号墳
安堂第5支群16号墳 出土遺物
安堂第6支群3号墳
安堂第6支群3号墳は、切石を用いた岩屋山式の横穴式石室をもつ直径22~23mの円墳です。玄室中央には凝灰岩の切石が3.4×1.85mの範囲に敷かれていました。出土遺物より、7世紀中葉から後半にかけての築造とみられます。
安堂第6支群3号墳
安堂第6支群3号墳 出土遺物
2基の古墳とも築造時期が、建物群が多数存在した時期と重なり、集落の中心的な人物を埋葬した古墳の可能性があります。
鳥坂寺周辺の古墳