中河内・南河内地区各市町村の社会教育委員ら亀の瀬の地すべり対策地を見学

2015年2月19日

 中河内地区(柏原市など3市)と南河内地区(6市2町1村)の社会教育委員の研究大会(研修会)が、2月18日、柏原市峠の亀の瀬地すべり対策地で行われ、両地区内各市町村の社会教育委員や関係職員ら計約50人が対策工事の排水トンネルや旧大阪鉄道の亀の瀬トンネルなどを見学した。柏原市教育委員会文化財課の石田成年主幹らが現地で解説した。

 同研修会は、両地区内各市町村の社会教育委員相互の交流を深め社会教育に関係する課題を研究するために大阪府の社会教育振興協議会と社会教育委員連絡協議会の主催で、毎年度行われている。

 今年度は、昭和6年(1931)から昭和7年(1932)に発生した大規模な地すべりに対応するため、昭和35年(1960)から国の直轄施工となって現在も続けられている対策工事の実際を見学しようと、この日の研修会となった。柏原市社会教育委員会議が主管した。

 亀の瀬の地すべりは、幅約1000メートル、長さ約1100メートル、最大厚さ(すべり面の深度)約70メートルにも及ぶ大規模なもので、すべり面の地下水を抜くなどの対策工事が続けられている。近年は、ほとんど地すべりは見られないという。

 旧大阪鉄道の亀の瀬トンネルは、昭和7年の地すべりで完全に崩壊したと思われていたが、平成20年(2008)に排水トンネルの掘削工事中、奇跡的に崩壊を免れていた約60メートルの区間が約80年ぶりに発見された。同トンネルは、明治25年(1892)の開通で、煉瓦積み構造、馬蹄形の断面を持ち、高さ約4.8メートル、最大幅約4.3メートル、開通当時の延長は約450メートル。当時の鉄道トンネルの建築工法を知るうえでの貴重な資料であり、交通史や災害史を語るうえでも欠かせないことから、平成25年2月、原形をとどめている約45メートルの範囲が柏原市の指定文化財に指定された。石田主幹は、明治時代のトンネルなど近代化遺産研究のエキスパートで、同トンネルにもくわしいことから、この日の解説を担当した。

 社会教育委員らの一行は2班に分かれ、石田主幹や国土交通省近畿地方整備局大和川河川事務所の担当者の解説を聞きながら、同対策地内の亀の瀬地すべり資料室や1号排水トンネル、旧大阪鉄道の亀の瀬トンネルなどを午後2時ごろから約1時間半かけて見学してまわった。約80年ぶりに姿を現した明治時代のトンネルを目の当たりにした一行は、「よく残ったものだ」「感動した」「防災を地域学習に取り入れていきたい」などと感想を口にしていた。

 見学終了後、石田主幹は、「こうした見学会をきっかけに近代化遺産や防災対策などに目を向けてもらえれば」などと話していた。

亀の瀬見学

 

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