文化財説明板 新たに2か所設置 「農事試験場畿内支場」と「円明古墓群」

2015年2月6日

 柏原市教育委員会文化財課は、2月6日、同市内の文化財についての説明板を新たに2か所設置した。

 今回、新たに設置したのは農商務省農事試験場畿内支場の説明板と円明古墓群の説明板。それぞれ、JR柏原駅西口のロータリー北側と同市円明の中小企業団地4号公園内に設置した。いずれもアルミの枠組み付きステンレス腐食プレート製で、アルミの枠組みを含めて、幅約70センチ、高さ約60センチ。直径約8センチ、高さ約1.7メートルのアルミ製の支柱2本で支えられている。同文化財課が平成19年度以降設置している説明板と同じ規格。ともに説明文と併せて写真や図などを表示し、分かりやすく工夫している。2か所とも、これまで未設置だった。今回の設置で、同文化財課が同市内に設置している説明板は、計57か所となった。

 農商務省農事試験場畿内支場は、農業関係の国の研究施設で、明治36年(1903)から大正13年(1924)ごろまでJR柏原駅の北側、現在の同市今町から清州、大正などにかけての一帯にあった。東京の本場のほか、全国数か所に設置されていた施設の一つで、後の国立農業試験場、現在の各地域農業研究センターにあたる。最盛期には約5万8千平方メートルもの試験用農地を持ち、全国で初めて稲の人工交配に成功するなど、稲の品種改良研究に関してはトップレベルにあったという。大正5年(1916)には、当時、盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)の学生だった宮沢賢治が、修学旅行で同級生らとともに見学に訪れている。しかし、現在ではその存在すらほとんど知られておらず、いわば忘れられた郷土史。跡地は、現在、すべて市街地化している。 

 円明古墓群は、奈良時代から平安時代にかけての火葬骨を埋葬した墓地で、昭和46年(1971)から昭和47年(1972)の帝塚山大学による調査で約50基の古墓が確認された。最初期(11世紀ごろ)の五輪塔が確認されるなど、葬制史や石塔史研究の上からも貴重な遺跡。古墓群跡の大部分は、現在、工場の敷地などになっている。

 同文化財課は、文化財説明板の未設置箇所への設置を進めるとともに、既設の説明板を現況に応じて、S(直ちに建替えが必要)、A(建替えの必要性がある)、B(建替えの必要性は比較的小さい)、C(建替えの必要性は全くない)の4段階にランク分けして建替えに備えるなど、計画的効率的に整備を進めている。現在、Sランクの説明板はないという。同文化財課では、「説明板を通じて市内の文化財に、いっそう親しんでもらえれば」などと話している。

 

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