柏原市立歴史資料館の火熨斗(ひのし) 九州国立博物館で展示 武寧王陵出土の火熨斗など、日韓の多数の国宝とともに

2014年12月5日

 柏原市立歴史資料館(安村俊史館長、同市高井田)所蔵の火熨斗(同市指定文化財)が、九州国立博物館(三輪嘉六館長、福岡県太宰府市石坂4)で展示されることになった。来年(平成27年)1月1日(木)から開催の同博物館特別展「古代日本と百済の交流 ―太宰府・飛鳥そして公州・扶余―」で、国宝・七支刀(奈良県石上神宮所蔵)や韓国の国宝・武寧王陵出土王墓誌石(韓国国立公州博物館所蔵)などとともに展示される。同特別展では、韓国武寧王陵出土の火熨斗の展示も予定されており、二つの火熨斗がそろって展示されるのは日韓を通じて今回が初めてとあって、内外の注目を集めそうだ。

 展示される火熨斗は、同市高井田の高井田山古墳(5世紀)出土の青銅製品で、長さ約30センチ×幅約2.5センチの柄の先に直径約17センチ×深さ約5センチの円形の火皿が付いている。武寧王陵出土の火熨斗と双子といってよいほど形が似ており、同古墳からの他の出土品とともに平成20年3月、同市の指定文化財に指定された。

 同特別展は、太宰府市などに残る古代の城、水城(みずき)・大野城・基肄城(きいじょう)の築城1350年を記念し、古代の日本(倭)と百済の交流をテーマに開催される。内容は、日本と百済の出会い(国宝七支刀と百済武寧王の時代)、太宰府にいきづく百済(太宰府の城と百済の都城)、仏がつないだ二つの国(百済の寺院と倭国の初期仏教文化)など。日本の国宝や重文のほか韓国の国宝など、貴重な文化財が多数展示される。特に門外不出といわれる七支刀や武寧王陵出土王墓誌石は必見。また、韓国の国宝・百済王興寺跡出土舎利器(韓国国立扶余文化財研究所所蔵)が韓国外で展示されるのは、今回が初めてという。

 1月1日(木)から3月1日(日)まで開催(ただし、七支刀の展示は1月15日(木)から2月15日(日))。3階特別展示室。午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)。月曜休館(ただし、1月12日(月・祝)は開館、1月13日(火)は休館)。一般1,400円、高大生1,000円、小中生600円。「日本発掘 ―発掘された日本列島2014―」(発掘された日本列島展20周年記念)を同時開催。西鉄太宰府駅下車徒歩約10分。太宰府天満宮横。

 期間中、記念講演会やウォーキングツアー、リレー講座などの開催も予定されている。

 同博物館では、平成27年が日韓国交正常化50周年にもあたることから、「これをきっかけに両国の関係をさらに深めていきたい」などと話している。

 同特別展などについて、くわしくは、九州国立博物館(NTTハローダイヤル・050-5542-8600、午前8時から午後10時・年中無休)まで。又は、同国立博物館ホームページ(http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s38.html)で。

【火熨斗】 火熨斗型青銅製品。本来の用途はアイロンであるが、高井田山古墳のものが実際にアイロンとして使われたのかは不明。韓国や中国でも出土例は限られており、日本国内での出土例は極めて少ない。 高井田山古墳出土の火熨斗は、平成16年7月から9月に奈良国立博物館(奈良県奈良市)で展示されたほか、平成22年7月から12月にかけて国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)と国立民族学博物館(吹田市)で展示されるなど、これまでにも複数の国立博物館で展示されている。

【高井田山古墳】 直径約20メートルの円墳。畿内最古級の横穴式石室を持つことで知られ、石室の構造や埋葬方法など、百済の古墳との共通点が多い。武寧王の父、昆支(こんき)王の墓の可能性が示唆されるなど、古代日韓文化交流の深さを物語っている。

【百済】 西暦660年まで朝鮮半島にあった国。日本に仏教を伝えるなどしたが、唐・新羅の侵攻によって滅ぼされた。

【武寧王】 百済の第25代国王(西暦462年~523年)で、九州の筑紫、加唐(かから)島生まれとされる。 【水城・大野城・基肄城】 白村江の戦い(西暦663年)で、百済再興を目指した倭が唐・新羅連合軍に敗れた後、西暦664年~665年に、唐や新羅の侵攻に備えて、百済からの渡来人の技術指導で築城されたという。水城は土塁と堀で構成される防衛施設、大野城と基肄城は古代の山城で、いずれも太宰府を防衛するためのもの。現在、土塁や石組、建物の礎石などが残っており、それぞれ国の特別史跡に指定されている。

九州国立博物館リーフレット

高井田山古墳ひのし

高井田山古墳から見つかった「ひのし」

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