鳥坂寺の鴟尾 実物大で再現に取り組む 柏原市民歴史クラブ

2012年4月10日

 柏原市の市民歴史愛好者サークル、市民歴史クラブ(長澤星二会長・15人)の会員らが、飛鳥時代の寺院、鳥坂(とさか)寺の鴟尾(しび)の実物大での再現に取り組んでいる。今年2月から週1回のペースで、作業場としている同市立歴史資料館に数人ずつ交代で集まり、同館学芸員らのアドバイスを受けながら、作業を続けている。作業時間は、毎回午後からの3時間程度。

 鴟尾とは、寺院の屋根の両端にある飾り瓦で、寺院の象徴ともいうべき存在。鳥坂寺跡では、昭和4年(1929)に鴟尾の底部が出土したことから、同地が古代の寺院跡であることが明らかになった。このとき出土した鴟尾の底部は、長さ約90センチ、幅約46センチ、高さ約37センチで、鴟尾の全体を復元すると高さは約1メートル35センチになるという巨大なもの。現在は、東京国立博物館(東京都台東区)に復元された形で展示されている。同クラブが再現に取り組んでいるのは、この復元された形の鴟尾。

 鳥坂寺は、飛鳥時代から平安時代にかけて同市の高井田にあった、孝謙天皇ゆかりの寺院。8世紀ごろの歴史書「続日本紀(しょくにほんぎ)」に記載があり、同市教育委員会文化財課の発掘調査で、金堂や講堂など主要な建物の基壇などが確認されている。今年1月、国の史跡に指定された。

 同歴史クラブは、昨年、鳥坂寺の金堂や塔など主要建物の模型での再現に取り組んでおり、鳥坂寺跡が国の史跡に指定されたことなどから、よりビジュアルな形で郷土の歴史を一般にアピールしようと、このほどの実物大での鴟尾の再現となった。再現にあたっては、比較的簡単に製作でき、持ち運びしやすいようにと、発砲スチロールや針金で形を作った後、上から薄く粘土を貼り付けるという方法が採られた。東京国立博物館の鴟尾の写真などを参考に学芸員らの助言も受けながら、実物の雰囲気に近い色を塗って仕上げるという。

 同歴史クラブの長澤会長は、「再現に取り組んでみて、改めて鴟尾の巨大さを実感した。歴史をイメージするには、実際に見るのが一番。再現完成後は、金堂などの模型と併せ、ぜひ多くの人に見てもらいたい」などと話している。再現完成後の鴟尾は、7月14日(土)から開催の同市立歴史資料館企画展「鳥坂寺再興」で展示の予定。

 

【J:COM東大阪が鴟尾の再現作業風景を取材】

 ケーブル・テレビのジュピターテレコム(J:COM東大阪)が、4月9日、市民歴史クラブ会員らによる鴟尾の再現作業のようすなどを取材した。4月23日から1週間、J:COMチャンネル11chの番組「週間かわちHOT情報」で放映される。

 

しび再現

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