珍品 百人一首と煙草(たばこ)盆(ぼん) スポット展示

2012年4月20日

 柏原市立歴史資料館(同市高井田)では、6月30日(土)まで、百人一首の札と煙草盆をスポット展示している。午前9時30分から午後4時30分。月曜休館。入館無料。

 百人一首の札といえば、読み札に歌の全文と作者の肖像画が描かれているのが一般的。しかし、今回展示している百人一首の札は、読み札には文字だけ、しかも歌の上の句だけしか書かれていないという珍品。作者の肖像画はもちろん、歌に関係する絵も描かれていない。また、文字は行書体で、手書きの可能性もあるという。取り札に書かれているのは下の句の文字だけだが、これは現在も変わらない一般的な形式。

 本来、歌集だった百人一首が、現在のようにカード・ゲーム化したのは、江戸時代初期のことだとされる。現在のようなルールが確立されたのは、明治以降のこと。歌を覚える教育素材としての役割も持ち、江戸時代までは、読み札には上の句だけを書き、取り札には下の句だけを書くのが一般的だった。しかし、時代にかかわらず、読み札には作者の肖像画が描かれている。第2次世界大戦中などの物資が不足した時代にも、歌に関連する何らかの絵は描かれていたようだ。ただ、江戸時代中期ごろまでの札には、肖像画の描かれていない札も一部には認められるという。しかし、今回展示している札が、江戸時代中期以前のものかどうかは分からない。札そのものも激しいゲームでのやり取りに耐えられるよう丈夫に作られるが、展示している札は、それほど丈夫な印象ではない。ゲーム用ではなく、歌の暗記用の札だったのかもしれない。

 煙草盆は、縦約18センチ・横約25センチ・高さ約9センチで、直径約10センチ・高さ約10センチの灰皿や長さ約40センチのキセルなどがセットになっている。「嘉永元年(1848)田葉粉盆」の墨書がある、縦40センチ・横29センチ・高さ32センチの木製の箱に二組納められていた。箱には、煙草盆と一緒に印籠や銅鏡、小皿などが納められており、併せて展示している。印籠なども江戸時代の製品と見られる。 百人一首、煙草盆ともに法善寺の大谷恒夫さんから同歴史資料館への寄贈品。

 同歴史資料館の安村俊史館長は、「当時、これらを使った人々の生活を実感するためにも、一つひとつ、ゆっくり、ご覧ください」などと話している。

 スポット展示について、くわしくは、同歴史資料館(TEL 072-976-3430)まで。

 

昔の百人一首

お問い合わせ

文化財課
582-0015 柏原市高井田1598-1(柏原市立歴史資料館内)
電話072-976-3430
ファクシミリ:072-976-3431