回想法で出前講座 介護とコラボ ちょっと昔の道具たち

2012年6月13日

 回想法による柏原市立歴史資料館の出前講座「ちょっと昔の道具たち」が、13日、同市古町3の介護老人保健施設・知恵の和苑(天方義邦施設長)で行われ、同苑のお年寄りたちが、午後1時半ごろから約1時間、石臼や蓄音機など、ちょっと昔の道具の使用を楽しんだ。同歴史資料館の安村俊史館長と同市教育委員会文化財課の石田成年主幹が指導した。同苑の介護スタッフらがサポート、お年寄りたちと一緒に道具の使用に挑戦した。介護老人保健施設とのコラボ(協働)は、同歴史資料館にとって初めての試み。当初は入所のお年寄り約70人が対象だったが、講座開催を目にしたデイサービス利用者約25人からも受講希望の声があがり、予定を延長して午後2時半ごろまで行われた。

 回想法とは、主としてお年寄りを対象とする心理療法の一種で、その人の体験や思い出などを聞いて楽しく会話することを基本とする。お年寄りの認知障害や記憶障害の改善に役立つほか、認知症の予防や進行を抑制する効果もある。かつて実際に使っていた道具に再び触れることで、五感が刺激され記憶が呼び起こされるという。地域活動や世代間交流にも役立つ。

 同歴史資料館では、昭和30年代ごろまで各家庭で普通に使われていながら今ですっかり目にしなくなってしまった日常生活用具などを展示する企画展、「ちょっと昔の道具たち」を毎年1月から3月に開催している。企画展の対象は主として小中学生など若い世代だが、回想法にも役立つことから、お年寄りを対象とした出前講座の開催となった。この日用意された「ちょっと昔の道具」は、石臼などのほか洗濯板や五つ玉そろばん、炭火アイロンなど計10点で、いずれも同歴史資料館の所蔵品。受講したお年寄りたちは、道具にまつわる思い出や体験を語り、逆に安村館長らに使い方を説明するなど、久しぶりの使用を楽しんでいた。

 「百歳のお年寄りが自分から進んで道具を使おうとした。いつもより活気のあるようすに驚いた」と同苑スタッフ。同苑では、お年寄りらに好評なら、引き続いて実施していく方針。同歴史資料館では、今後も機会を見て、今回のような新しいコラボを進めていきたいとしている。

 

【介護老人保健施設】

 居宅での生活に復帰することを念頭に置き、それぞれの状況に応じた日常生活の介護などを通じて機能訓練や健康管理などを行う施設。介護保険法に基づく。

 

【出前講座】

 おおむね10人以上の団体を対象に実施。原則として、市が、あらかじめ用意している講座メニューの中から選んで申し込む。講座メニューは、文化財関係のほか、市行政に関連する全般的なテーマから生活に身近なテーマまで計約40項目が用意されている。

 

2012回想講座1 2012回想講座2

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