柏原市立歴史資料館「館報」 第24号(2011年度版)発行 幻の堅山家文書発見の経緯など紹介

2012年9月3日

 柏原市立歴史資料館(同市高井田)の「館報」第24号(2011年度版)が、このほど発行された。A4判、本文80ページで、450部発行。近隣市の博物館など関係機関に配付するほか、1部500円で一般の希望者にも頒布される。 「館報」は、同歴史資料館の前年度1か年度間の企画展開催や入館者の状況など、業務の概要をまとめた冊子で、1988年度版から発行されている。業務概要と併せて、巻末に学芸員らの調査・研究報告なども収録されており、同歴史資料館の1か年度間の業務と併せて、最新の研究成果を知ることができる。

 第24号(2011年度版)の注目記事は、調査・研究報告「続・税所篤(さいしょ・あつし)と松岳山(まつおかやま)古墳」。明治10年(1877)に行われた当時の堺県令・税所篤による、同市国分市場の松岳山古墳の発掘に立ち会った、地元の堅山新七が書き残した記録(堅山家文書)についての研究報告だ。「館報」第22号(2009年度版)収録の「税所篤と松岳山古墳」に続く第2弾で、同歴史資料館の安村俊史館長が執筆した。堅山家文書の内容は、大正5年(1916)に発表された梅原末治(後の京都大学名誉教授)の論文に紹介されているものの、文書そのものは、その後、所在が明らかでなく、研究者の間では長く幻の文書とされていた。それが、平成23年、堅山家建物の解体に先立つ安村館長の調査で、約百年ぶりに同家の蔵から発見された。この発見で、梅原が1面の鏡の表裏の図を2面の鏡の図だと見誤っていたことなどが明らかとなった。安村館長は、調査、発見から解読までの経過や文書の内容などについて興味深く記述している。

 その他の研究報告は、玉手山古墳群についての「玉手山10号墳の楕円筒」(河内一浩)と同歴史資料館隣接の史跡高井田横穴公園内に建つプレートに表示された万葉集の歌についての解説「史跡高井田横穴公園内の万葉歌」(宮本知幸)、江戸時代の環境政策についての解説「環境への意識は江戸時代に始まった」(同)の3本。読み物としても楽しむことができる。

 「館報」第24号について、くわしくは、同歴史資料館(976-3430)まで。

 

館報24号

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