亀の瀬トンネルを市文化財に指定

2013年1月28日

 柏原市教育委員会は、このほど、同市峠の旧大阪鉄道亀の瀬トンネル(亀瀬隧道(かめのせずいどう))を同市の文化財に指定することを決めた。明治25年(1892)に同トンネルが開通した日にちなみ、2月2日付で指定する。 亀の瀬トンネルは、大阪と奈良を結ぶ最初の鉄道として、大阪鉄道が敷設した関西本線のトンネル。河内堅上駅・三郷駅間の大和川北岸、大阪府柏原市峠、通称亀の瀬地区にあり、開通当時の延長は約450メートル、煉瓦積み構造で、断面は馬蹄形、高さ約4.8メートル、最大幅約4.3メートル。昭和6年(1931)から7年(1932)に同地区で発生した大規模な地すべりで崩壊したと思われていたが、平成20年11月、国土交通省による地すべり対策のための排水トンネルの工事中、奇跡的に崩壊を免れていた約60メートルの区間が、約80年ぶりに偶然発見された。今回、同市の文化財に指定するのは、このうち煉瓦積み構造がはっきりした形で認められるなど原形をとどめている約45メートルの範囲。

 同トンネルは、側壁がイギリス積み、天井のアーチ部分が長手積みと呼ばれる工法で煉瓦が積み上げられており、当時の鉄道トンネルの建築工法を知るうえでの貴重な資料。交通史や災害史を語るうえでも欠かせないことから、このほどの指定となった。同市の指定文化財は、史跡鳥坂寺跡出土「鳥坂寺(とさかでら)」銘墨書土器、江戸時代の大和川付替え工事などを記録した中家文書(なかけもんじょ)などに続いて、これで10件目となる。 同区間の関西本線は、地すべり後の昭和7年末に大和川南岸に敷設しなおされており、同地区での地すべり対策工事は、昭和37年(1962)から国の直轄施工となって現在も続けられている。

 担当の同教育委員会文化財課では、「今後とも国土交通省など関係機関と連携しながら、将来に向かって保存するとともに可能な範囲で活用していきたい」などと話している。

 

亀の瀬トンネル

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