春季企画展「河内大橋」開催 幻の河内大橋の実像に迫る

2013年3月8日

 柏原市立歴史資料館(同市高井田)は、3月23日(土)から6月23日(日)まで、春季企画展「河内大橋」を開催する。周辺遺跡の出土品や万葉集の歌などを通じて幻の河内大橋の実像に迫り、奈良時代の柏原を歴史的に復元する。同市の市民歴史クラブ(長澤星二会長、18人)が製作した大橋の推定再現模型も併せて展示する。午前9時30分から午後4時30分。月曜休館、入館無料。

 河内大橋は、宝永元年(1704)に付け替えられる以前の旧大和川に、奈良時代(8世紀)ごろ架かっていたと考えられる橋。万葉集の高橋虫麻呂の歌に詠まれていることで知られる。架かっていたのは、同市安堂町、現在の同市役所北側付近だと推定されるが、遺構などが発見されていないため、架けられた時期や場所、規模、構造など、くわしいことは何も分かっていない、まさに幻の大橋。

 安堂町周辺には、安堂遺跡や太平寺遺跡、船橋遺跡などの集落遺跡がある。同市内には、龍田道や渋川道などの当時の街道に沿って、竹原井頓宮(たけはらいのとんぐう)跡や智識寺南行宮(ちしきじみなみあんぐう)跡、津積駅家(つづみのうまや)跡などが残されている。当時、河内の国府(こくふ)があった藤井寺市国府(こう)にも近い。頓宮や行宮は、当時、天皇の行幸(ぎょうこう)に際して使用された宿泊所。駅家は、役人の通行のため、馬などを配置していた施設。こうしたところから、河内大橋は行幸路としても位置付けられるという。 「少しでも河内大橋の謎を解明していきたい」と同歴史資料館、「展示を通じて、華やかな古代の柏原や今とは違う大和川の風景を思い描いてもらえれば」などと話している。

 春季企画展「河内大橋」について、くわしくは、同歴史資料館(072-976-3430)まで。

 

【高橋虫麻呂】

 奈良時代の歌人。生没年不詳。万葉集に河内大橋を詠んだ歌など約30首が収録されている。

 ○ 級照(しなて)る 片足羽川(かたしわがわ=大和川)の さ丹(に)塗りの 大橋の上ゆ 紅(くれない)の 赤裳裾(あかもすそ)引き 山藍(やまあい)もち 摺(す)れる衣(きぬ)着て ただ独り い渡らす児(こ)は・・・(以下略)(万葉集9-1742)

  ○ 大橋の頭(つめ)に家あらば 心悲(うらがな)しく 独り行く児(こ)に 宿貸さましを(万葉集9-1743)

 

河内大橋展

お問い合わせ

文化財課
582-0015 柏原市高井田1598-1(柏原市立歴史資料館内)
電話072-976-3430
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