博物館実習 今年は6人

2013年8月26日

 柏原市立歴史資料館(同市高井田)では、今年も学芸員資格の取得を目指す学生の博物館実習を実施した。 同歴史資料館では、毎年、各大学からの実習生を受け入れ、夏休み期間中に実習を実施している。今年の実習期間は8月20日(火)から25日(日)の6日間、時間は午前9時から午後5時。

 今年の実習生は、大阪教育大学の川西莉夏子さん、中井依里さん、渡辺光子さん、近畿大学の星野沙枝さん、小池千春さん、武庫川女子大学の吉田里美さんの計6人で、全員が女子学生。小池さんが3年生で、他は4年生。

 6人は、同歴史資料館の安村俊史館長や同市教育委員会文化財課の石田成年主幹らの指導のもと、民具や古文書の整理と目録作り、考古資料の梱包、4×5インチサイズのシートフィルムを使う大判カメラでの写真撮影などの実習に取り組んだ。同歴史資料館臨時職員(古文書解読)の山崎竜洋さんらがサポートした。 民具の目録作りは、最近、市民から同歴史資料館に寄贈されるなどした、江戸時代から昭和初期の生活用具や日常品などが対象。1点ずつ形状などを確認しながら台帳に記録していく。考古史料の梱包は、学芸員にとっては、修得必須な技術、避けては通れない。貴重な文化財を傷つけてはならないため、安村館長らの説明を聞きながら、恐るおそる作業に臨んだ。フィルムを使うカメラでの写真撮影は、スマートフォンなどでの撮影に慣れた実習生には珍しく、まして、一般的な35ミリサイズではなく大判カメラでの撮影とあってか、特に関心を集めていた。中には大判カメラを見るのも初めてという実習生も。6人は、撮影用の布を頭からすっぽりかぶりながらカメラを操作、交代で館内の展示品や史跡高井田横穴などの撮影に挑戦していた。大判カメラは、フィルムの解像度の高さなどから、博物館などでは今も現役で活躍している。

 実習の仕上げは、例年どおりスポット展示。スポット展示とは、市民から寄贈を受けた民具や古文書などを2か月ごとに入れ替え紹介する小展示で、実習生には、その企画から実際の展示まで、説明パネルの作成や展示品のレイアウトなど、すべてが任される。今回の素材(展示品)は、昭和38年製の編み機や竹製の鳥籠など。6人は、それぞれ役割分担を決めて取り組み、最終日の午後5時すぎまでかけて、展示を完成させた。タイトルは、「昔のくらしにタイムスリップ」。家族の会話風景のイラストで当時のようすを説明しているほか、写真パネルで編み機の使い方を解説するなど、分かり易く展示している。

 実習終了後、6人は、「学芸員として働くことが夢」、「他大学の人たちと楽しく実習することができて良かった」、「1枚の写真を撮るのにも大変な手間がかけられていることを知って感動した」などと話していた。

 6人が担当したスポット展示「昔のくらしにタイムスリップ」は、10月末まで同歴史資料館常設展示フロア入口横のスペースで展示される。

 

【学芸員】

 博物館や美術館などの専門職員で、学芸員資格(国の資格)が必要。学芸員資格を取得するには、博物館などで一定年数の実務を経験し文科省の認定を受けるか、大学で博物館概論や博物館資料論など(博物館実習を含む)文科省所定の単位を修得する必要がある。毎年、全国で約1万人が資格を取得すると思われるが、実際に学芸員として就職できるのは百人にも満たないとされる。以前から、資格取得には実習だけでなく一定期間の実務経験が必要などと資格要件の改正が議論されているが、現時点では改正にまでは至っていない。また、実習受入れ側の負担も小さくない、などといった問題点も指摘されている。

 

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