中学生の職業体験学習 今年は3校5人が学芸員を体験

2013年11月18日

 中学生の職業体験学習で、今年は、計3校・計5人(男子4人、女子1人)の中学生が学芸員を体験した。柏原市立歴史資料館(同市高井田)が、受け入れた。

 今年、同歴史資料館で学芸員を体験したのは、10月23日から25日に体験学習(「勤務」)した堅上中学校(宇都宮勧校長)の三野透史君をトップバッターに、11月6日から8日に「勤務」した玉手中学校(小畑壽校長)の清水一生君、亀本凱斗君、細見修司君、そして、11月14日と15日に「勤務」した八尾市立南高安中学校(北本文克校長)の石田さりなさんの5人。特に石田さんは、受け入れ人数などの関係から八尾市内の博物館などで断られたものの、どうしても学芸員を体験したいと、学校の承認を得て柏原市立歴史資料館での「勤務」となった。 職業体験学習は、実際に商店や事業所などで「勤務」することによって職業を体験するとともに将来の進路選択などにも役立たせようと、同市内などの中学校が2年生を対象に毎年実施している。同歴史資料館でも毎年各中学校からの依頼を受け、中学生を受け入れている。しかし、例年は、1校から1~3人程度の受け入れだったのが、今年は一気に3校にまで増えた。まさに急増と言ってよく、この急増ぶりに同歴史資料館では喜びと戸惑いの声があがった。急増したのは、それだけ歴史資料館などへの中学生たちの関心が高まった証拠で、このこと自体は同歴史資料館としては喜ばしいことだが、反面、体験のメニューが限られていることもあり、何をしてもらうのか、その振り分けが難しいところだという。例年、職業体験の中学生たちにはスポット展示(同歴史資料館が市民から寄贈を受けた民具などの小展示)の展示品のレイアウトなども体験してもらうのだが、スポット展示が2か月に1度の展示替えであるため10月から11月の間、1度しか機会がとれない。このため、今回のように3校からの受け入れともなると、学校ごとに「勤務」期間が異なっていることもあり、全員に体験してもらうわけにはいかないからだ。こうしたところから、今回、同歴史資料館では、共通の体験メニュー以外に、資料調査や展示品レイアウトなど、それぞれの「勤務」期間に応じた個別の体験メニューを用意したという。

 5人は、同歴史資料館の安村俊史館長や学芸員の山根航さんの指導のもと、それぞれの「勤務」期間中、共通の体験メニューとして、収蔵資料の整理や寄贈資料の目録作り、資料の写真撮影などに取り組んだほか、開催中の企画展「大和川のおいたち」見学に訪れた小学生等の案内をサポートするなどした。

 このほか、トップバッターで「勤務」した堅上中の三野君は、個別の体験メニューとして、市内国分地区の旧家での資料調査を体験した。山根さんとともに旧家を訪れ、ほぼ半日かけて旧家に残る古民具などの調査を手伝った。併せて、市民から寄贈された昭和初期のSPレコードの整理や展示などを体験した。レコードのカテゴリーごとに分類、説明を付けて、常設展示場の一画に展示した。CDやデジタルオーディオプレイヤーなどに慣れた三野君にとっては、レコードそのものが興味深かったようだ。

 スポット展示のレイアウトは、人数が一番多かったことから玉手中の清水君たち3人が体験した。市民から寄贈を受けた、竿秤(さおばかり)や焼印用の鏝(こて)、田植えのときに使用した境縄(さいなわ)など、昭和初期ごろの道具を工夫しながらレイアウトしていった。レイアウトに先立ち、それぞれの道具の用途や使い方を調べ、実際に使ってみるなどした。併せて、道具を説明するキャプション(説明文)も自分たちで書いた。最終日、細見君は体調不良で「勤務」できなかったが、清水君と亀本君の2人で午後5時近くまでかけて展示を完成させた。このスポット展示は、12月末まで同歴史資料館2階常設展示場入口横のスペースで展示されている。 最後に「勤務」した南高安中の石田さんは、三野君と同じようにSPレコードの整理を体験したほか、山根さんらとともに八尾市の農家を訪問、同歴史資料館の一般市民を対象とした体験学習、しめ縄作りなどに使う藁(わら)を受け取り、藁打ち機を使っての藁打ち作業を体験するなどした。さらに来年1月から開催の冬季企画展「ちょっと昔の道具たち」の展示の準備作業なども手伝った。

 それぞれの「勤務」終了後、5人は、「資料調査など貴重な体験ができて良かった」(三野君)、「写真撮影やレイアウトなど難しかったが楽しかった」(亀本君)、「これまでに経験したことのないことを経験できた。収蔵庫など、普段見ることのできないところも見ることができて、うれしかった」(石田さん)などと話していた。

 同歴史資料館では、小学生以下や年配の世代の来館は多いものの特に中学生や高校生など若い世代の来館が少ないことから「今後も次世代を担う中学生の職業体験学習を受け入れるとともに、こうした機会を活用し歴史資料館の魅力を多くの世代にアピールしていければ」などと話している。

 

中学生職業体験1 中学生職業体験2
中学生職業体験3

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