歴史探訪シンポジウム 「これからの柏原郷土史を語る」開催される

2014年3月18日

 柏原の郷土史を探る会(宮川良造会長)による歴史探訪シンポジウム「これからの柏原郷土 史を語る」が、3月15日、柏原市高井田の同市健康保養センター「サンヒル柏原」の1階大会議室で開催され、同市立歴史資料館の安村俊史館長ら4人のパネ リストが約80人の参加者を前に、これからの郷土・柏原の歴史を探求していくうえでの課題や展望について意見をかわすなどした。同探る会の桝谷政則事務局 長が、コーディネーターを務めた。  同探る会は、歴史愛好の一般市民らによる同好会で、平成17年8月の設立以来、郷土の歴史を学び、調べ、広げようをモットーに独自の郷土史研究や講演会、歴史ウォーキングの開催などの活動に取り組んできた。今年3月末で発展的に解散することから、この機会に郷土・柏原の歴史の謎や解明されていない課 題、郷土史研究の現況などについて専門の研究者らに大いに語ってもらい、ともに今後を考えて行こうと、今回の開催となった。

 パネリストは、安村館長のほか、八尾市立歴史民俗資料館元館長の棚橋利光さん、大阪府立大学名誉教授の山中浩之さんと柏原市教育委員会文化財課の山根航さんの計4人。

 棚橋元館長は、日本書紀に記載されているものの所在が明らかでなかった高安城の研究などで知られる八尾・柏原の郷土史研究の第一人者。山中名誉教授は、 江戸時代に柏原市国分にあった私塾・立教館の研究など、文化史の研究者として知られる。安村館長は、柏原市立歴史資料館長として昨年の同歴史資料館の夏季 企画展で推古天皇21年(613)に設置された難波大道の通説に真っ向から挑むなど、常に斬新で積極的な郷土史研究を続けている。山根さんは、郷土・柏原 の文化財研究の若手のホープで、続日本紀(しょくにほんぎ)に記載された、同市高井田の古代寺院・史跡鳥坂寺跡の発掘調査に関わるなどした。

 シンポジウムでは、史跡鳥坂寺跡の発掘や史跡公園化に向けての取組みの紹介、智識寺の本尊とされる廬舎那仏(るしゃなぶつ)への疑問の投げかけ(何故、 廬舎那仏が祀られたのか)、古文書を通じた郷土史研究の現況説明、蔵書調査の重要性の指摘、全国史の中の郷土史研究の必要性についての提言など、古代から 中世、近世、近代に至る各時代を通じた、郷土史に関係する、さまざまな意見がかわされた。併せて、文書資料として、かつて柏原駅北側にあった農商務省農事 試験場畿内支場見学のため、大正5年(1916)に宮沢賢治らが柏原を訪れていたという、知られざる郷土史を紹介した「宮沢賢治と柏原」なども参加者らに 配付された。

 桝谷事務局長は、「郷土・柏原の歴史の謎や史実の解明は尽きることがない。歴史は、知的好奇心を満足させるだけでなく、まちづくりの素材として活用できるなど、無限の可能性を持っている。大いに親しんでいただければ」などと話していた。

 

郷土史シンポジウム1

郷土史シンポジウム2

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