高井田山古墳 マルチシェルターの透明プラスチック板交換作業行われる 柏原市教委文化財課

2014年4月3日

 柏原市高井田の史跡高井田横穴公園内の公開古墳、高井田山古墳(5世紀)で今年2月21 日から行われていた、同古墳石室のマルチシェルター(覆(おお)い屋(や))の透明プラスチック板(ポリカーボネート板)を交換する作業が、このほど完 了、プラスチック板の劣化によって失われていたマルチシェルターの透明度が復活した。柏原市教育委員会文化財課が担当した。

 高井田山古墳は、昭和49年(1974)の大阪府教育委員会による平尾山古墳群分布調査で存在が確認され、平成2年(1990)11月から翌3年 (1991)4月に行われた柏原市教育委員会による発掘調査で近畿地方最古級の横穴式石室を持つ古墳であることが分かった。同古墳の付近には、6~7世紀の墓である高井田横穴群があり、横穴の一部は大正11年(1922)に国の史跡指定を受けている。平成2年3月には、同古墳を含んだ約36000平方メー トルの区域が国の史跡として追加指定を受けた。

 平成元年度(1989)から3か年度で行われた同史跡公園の整備に際し、平成3年1月、文化庁の指導を受け、天井部分の石材が失われていた同古墳の石室 がマルチシェルターで覆われることになった。マルチシェルターは、幅5メートル×奥行き6メートル×高さ最大約1メートルのかまぼこ型で、鉄骨フレーム構造。全体が格子状になっており、石室を保護するとともに石室内部が見学できるよう、フレームに縦1メートル×横1メートル×厚さ2ミリの透明プラスチック 板、計36枚がはめ込まれている。併せて、かまぼこ型の形状に合うよう、側面にも計10枚のプラスチック板がはめ込まれている。平成4年(1992)3月 に完成した。同史跡公園は同年5月にオープンし、以後、同古墳は石室内部を見学することのできる公開古墳として親しまれている。

 しかし、屋外にあることから、どうしてもプラスチック板の劣化は避けられず、数年前から目立って透明度が落ちてきていた。最近では、上面のプラスチック 板はすっかり透明度を失い、かろうじて南側側面の一部からのみ石室内部が見学できる状態になっていた。こうしたところから、史跡公園の見学者等からの要望 もあり、今回の交換作業となった。作業の実施は、見学者が比較的少ないことなどから、この時期が選ばれた。

 作業は、劣化したプラスチック板の取り外しから開始され、併せて鉄骨フレームのさび落としなども行われた。約1か月間の作業を経て、プラスチック板の交換が完了した同シェルターは、すっかり元の透明度を取り戻していた。

 担当の同文化財課では、「これで、石室周囲のどこからでも内部の構造を見学することができるようになった。これを機会に改めて高井田山古墳に親しんでもらえれば」などと話している。

 

 

【高井田山古墳】

 直径約20メートルの円墳。5世紀後半の築造と見られ、近畿地方で最古級の横穴式石室を持つ。韓国の武寧王陵(6世紀前 半)と共通点が多く、二つの古墳からは、ともに火熨斗(ひのし)型青銅製品や金層ガラス製品(装身具)などが出土している。昆支王(こんきおう=武寧王の 父)の墓の可能性が示唆されている。石室内には、火熨斗など出土品のレプリカが置かれ、発掘当時のようすが再現されている。平成24年7月、NHKスペ シャル「知られざる大英博物館・第3集・日本 巨大古墳の謎」で紹介されたほか、これまで韓国のテレビでも何度か取り上げられている。

 

シェルター交換1

シェルター2

交換前(左)、交換後(右)

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