ガリ版、ヘラ台などをスポット展示 柏原市立歴史資料館

2014年7月9日

  柏原市立歴史資料館(同市高井田)では、7月と8月の2か月間、ガリ版(謄写版)や裁縫用のヘラ台などをスポット展示する。午前9時30分から午後4時30分。月曜休館(祝日と重なったときは開館)。入館無料。

 ガリ版とは、孔版印刷の一種で、印刷機本体やそれによる印刷物をいう。初期のものは手動式だったが、昭和45年(1970)ごろから電気で動く輪転機に 代わっていった。展示しているのは手動式のもの。表面にロウの付いた原紙をヤスリ板の上に置いて、鉄筆でロウをはがしながら文字などを書き、印刷用の原版 を作る。この原版をガリ版印刷機本体のスクリーン上に貼って、下に紙を置き、インクを付けた専用のローラーをころがして1枚ずつ印刷していく。原紙に鉄筆 で文字などを書くときガリガリと音がすることから、ガリ版と呼ばれるようになったという。単に「ガリ」と呼ばれることもあり、印刷したものは印刷作業も含めて「ガリ版刷り」「ガリ版印刷」などと呼ばれた。鉄筆で文字などを書いて印刷用の原版を作ることを「ガリを切る」などといった。1893年にトーマス・ エジソンが原型を発明し、日本では1894年に堀井新治郎が改良し完成させたとされる。簡単に持ち運びできるうえ、動かすのに電気など特別の動力を必要と しないため、広く普及した。昭和40年代ごろまで、職場や学校などでも普通に使われており、広く親しまれていた。展示では、ガリ版印刷機本体のほか、鉄 筆、原紙、ヤスリ台、ローラーなども併せて紹介している。

 裁縫用のヘラ台は、ヘラで布に、切ったり縫ったりするための目印をつけるときに布の下に敷く台。展示のものは、台の裏面に鯨尺(くじらじゃく)からメー トル法への換算方法や裁縫の基礎知識などが表示されていることから裏面が見えるように展示している。鯨尺とは尺貫法の長さの単位「尺」の一種で、主に着物 の仕立てなどに使用された。

 ガリ版、ヘラ台、ともに菅原基晴さん(大正)からの寄贈。

 スポット展示とは、同歴史資料館が市民から寄贈を受けた古文書や民具などを「こんなモノをいただきました」として紹介する小展示。常設展示場入口横のスペースで、おおむね2か月ごとに展示替えしている。いわば、同歴史資料館収蔵品紹介の最新情報。 スポット展示について、くわしくは、同歴史資料館(072-976-3430)まで。

 

【尺貫法】

 長さや重さなどを表す単位系の一つ。イギリスやアメリカのヤード・ポンド法に相当する。 長さや距離は尺(しゃく、約30センチ)・間(けん=6尺、約1メートル80センチ)・町(ちょう=60間、約109メートル)・里(り=36町、約4 キロ)などで、重さ(質量)は匁(もんめ、約3.75グラム)・両(りょう=10匁、約37.5グラム)・貫(かん=100両、約3.75キロ)などで表 す。その他、面積の単位として坪(つぼ、約3.3平方メートル)や反(たん=300坪、約990平方メートル)が、体積(容積)の単位として合(ごう、約 0.18リットル)や升(しょう=10合、約1.8リットル)などがあった。 「尺」には、鯨尺の他、建築作業に使われたとされる曲尺(かねじゃく)と呼ばれるものもあった。鯨尺の方が曲尺より少し(約2.5寸=約7.5センチ) 長い。江戸時代には、京都の竹尺や大坂の鉄尺、両方を平均した折衷尺など、さまざまな尺があり、それぞれ微妙に違っていたが、明治になってから1尺=33 分の10メートルに統一された。

 鯨尺は、明治以後、着物の仕立て(布地の計量)に限って使用を認められた。鯨尺という名称は、布地の計量に使われたモノサシが鯨のひげで作られていたことに由来するといわれる。江戸時代以前、着物の仕立てには、呉服尺というものも使われていた。

 明治以後、日本では、メートル法と尺貫法が併用されており、公的な単位としては昭和33年(1958)に、土地・建物の取引などでも昭和41年 (1966)にメートル法に統一されたが、一般日常生活では、その後も尺貫法が使われていたことから、年配者の中には今でも尺貫法の方がわかりやすいとい う人もいる。「土地3.3平方メートル(1坪)あたり」などという表記は、尺貫法の名残。

 

ガリ版

ヘラ台

 

お問い合わせ

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582-0015 柏原市高井田1598-1(歴史資料館内)
電話072-976-3430
ファクシミリ:072-976-3431